7 覚醒
「い……や……やめて……」
優華は男4人に立ったままで撫でられ、揉まれ、舐められ続けていた。
「お願い……」
「う、うるさいんだな」
その屈辱に耐えかねて優華が口を開いて哀願の言葉を言い続けていると、その顔を舐めていた野村が優華の小さめの唇にその厚い唇を重ね合わせた。
「んん……んんん……」
野村は唇を重ね合わせるとちゅうちゅうと彼女の口の中の唾液や舌を吸い取ろうとするように吸った。すると無理矢理に優華の舌は野村の口の中に吸い込まれ、野村がその舌と自分の舌を絡め合わせるように舐めた。
「んんんんんん! んんんんんっ!」
まるで自分が舌を入れ誘っているような状況。優華は目をキュッと閉じ、野村の唾液でべとべとになった頬を窪めさせながら引き離そうと首を僅かに振り、そして自由な左手で野村の肩を弱々しく押していた。しかし野村の巨体はビクともせず、テイスティングするかのように優華の舌を舐め続けた。
「へへ……前はこんなに生えてるって事は……ケツにも毛が生えてるんじゃねえか?」
野村のそんな口と同時に松永の手もいやらしく優華の陰毛をが生える下腹部を蠢いていた。ただ撫でるだけではなく、指で陰毛を束にして掴んだり、引っ張ったりして軽い痛みの刺激を与えていた。
「んっ!」
その度に塞がれた優華の口からくぐもった声が上がり、やめるようにもう片方自由な右手で握る松永の腕を強く握った。
「……少し抜いちまった……んじゃ、こっちは……」
そう言いながら空いている松永の左手が優華の上着の背中を捲り、そこからスカートの中に手を滑りこませた。
「んんんっ!」
そして松永は陰毛を撫でるのと同じように左手を尻に滑りこませ、その割れ目に沿って撫でていった。優華は尻の刺激に背中をしならせて逃げようのない刺激から逃げようとしていた。
松永の手は尻の割れ目を滑り、尻の肉が挟まる部分で指をうねうねと動かし、そこに生える毛を撫でた。
「……尻毛は薄いんだなあ……へへっ、前はここに入れたんだよな……」
「んっ! んんんっ!」
そう言いながら松永の指が一気に割れ目を滑り降り、その奥の優華の肛門に着くとその淵を撫でて下世話に笑った。
「婦警にしておくには勿体無いくらいの胸だ。制服の上からでもわかるぞ!」
両手で胸を揉み上げる吉田がぐっ、ぐっと胸を制服の上から鷲掴みにして布越しにその柔らかな感触を堪能していた。それは愛撫と言うには程遠く、制服とブラで整っている乳房の形を歪ませようと考えているかのような手付きだった。
優華は舌や下腹部と尻に走る嫌悪を伴う気持ち悪さとは違った痛みを感じる圧迫感に軽く上半身を左右に振った。
そんな嫌がる優華の様子に吉田はさらにニヤッ笑い、乳房を揉む手の力を強めた。
「ひょっとしてもう乳首起ってるんじゃないか? 制服着てるからわかんないけどな!」
服を脱がせて直に揉むのとは違った制服越しの手揉み。しかし制服、しかも婦警の紺色の制服越しに揉む事に吉田はただその感触を楽しむだけではなく様々な想像が掻きたてられているのか、興奮しながらぐしぐしと力強く優華の乳房を揉み続けた。
そして、前田。前田は土下座をするように身を屈め、抱き付くように優華の左足に履かれたブーツを撫でていた。
「ブーツ……この皮の感触……」
そこに男3人を束ねる首領としての姿はない。ただ自分の好きな物を堪能する、ただの男の姿があった。
前田は顔をブーツに寄せ、頬ずりをしたり舐めたりしてブーツの皮の持つ冷たさや匂い、そして奥底に秘める優華の体温を感じながら堪能していた。
次第に前田の頭が徐々に上へと上がる。
上がり続けてスカートの中に頭を潜り込ませるとパンストに包まれた優華の膝や内太腿に頬づりをしたり撫でたりし始めた。
優華は新たに加わった足からの嫌悪感に自由の効く右足を足踏みするようにしてブーツの踵を鳴らしたり、振ったりして前田に離れるように信号を送った。
「あ、いいなあ、スカートに頭突っ込んで」
しかしそんな信号も全く届かない。届くどころかスカートの中で動く前田の頭に気付いた松永が羨ましげにそれを見るようになってしまった。状況の変化を結果的に教えただけであった。
「んんん……んあっ! はあはあ……やあ……」
その時、野村の口が優華から離れた。優華は新鮮な空気を吸おうと酸欠の金魚のように口を開け、荒く呼吸をし始めたが、すぐに野村の口が優華の頬に当てられ、べろべろと舐め始め、また優華の顔が嫌悪に歪んだ。
いつまでもこんな悪夢が続くんじゃ――。
優華が嫌悪で閉じた目で闇を見てそう思ったその時、
「な……何をしているのっ! 今すぐその子から離れなさい!」
不意に鋭い女性の声が優華とそれに群がる男四人に飛んで来た。男4人はそれぞれの行為を止めて声の方を振り返り、優華は閉じていた目を恐る恐る開いた。
5人が視線を向けたその先にはソファーに足を伸ばしたままで上体を起こし、優華の方を睨む真理子の姿があった。真理子はまだ目覚めきっていないのか、時折目をしばしばさせながら悪に対する警察官らしい鋭い眼差しを向けていた。
そんな真理子に優華のスカートの中から前田が顔を出して立ち上がると、2歩、3歩とソファーに座る真理子に歩み寄った。
「何って……遊んでいるんだ。なあ」
ちらっと肩越しに前田が優華に群がる3人に視線を送ると3人ともにやにやしながらうんうんと頷いた。前田は口元を軽く緩めながらさらに真理子に歩み寄り、その横に座った。真理子は横に座った前田を睨みつけた。
「ここはどこなの……手錠を外しなさい!」
「命令か、桜井巡査」
「……なぜ私の名を……」
警戒感をみなぎらせながら真理子が訊くと前田はポケットから真理子の警察手帳を取り出し、その身分証明のページを開いて見せた。
「全部知ってるんだ……あの久保寺巡査の先輩だって事もな」
「……と、とにかく、今すぐこんな馬鹿な真似をやめて私と優華を解放しなさい!」
前田を睨みながらこれ以上ない強い口調で真理子が言った、その時、
パシン! パシン!
突然、温厚だった前田が真理子の顔に平手を2発、入れた。不意の、しかもかなり強い平手であった為に真理子は顔を左右に激しく振られ、被っていた制帽が飛んだ。
その瞬間、真理子を見つめていた優華が思わず自分の事のように目をきゅっと閉じた。
「あーあ、前田さん、結構腹に来てるみたいだぜ」
その時そっと松永が優華に囁いた。
「普段前田さんが手を出す事はねえんだ……先輩の言い方、よっぽど気に入らなかったんだろうな」
そう言われた瞬間、優華ははっとした。
今まで前田に比較的紳士的に接せられた為にそんな感覚をどことなく麻痺させていたのだが、彼はレイプ、殺人犯の首領。人を殺める事位は平気でする。
警察官らしい態度を示せば示すほど危険に曝される。
(先輩、危険です!)
心でそう忠告したが口からそれが言葉になって出てこない。言えば自分も何をされるか分からないし、今までずっと隠してきた事がバレ、自分が追い詰められる事になると反射的に判断したからだった。
「何をするの! 私は警察官よ!」
しかし、平手を入れられても真理子は怯む事なく、すぐに前田を睨んだ。
(そんな目で……見ない方が刺激をしないから……)
真理子の身を案じ、心臓の鼓動を早くさせて優華は心で呟き、視線を真理子から外した。
「だから何か? 婦警だからって命令すれば俺達が従うって思うなよ。逆に婦警さんが俺達の言う事を聞いてもらわねえといけないんだからさ」
「どうして私が!」
「もう忘れたのか?」
そう言って前田が優華の方に視線を流した。真理子もその方に視線を向ける。
(……先輩…………)
2人、特に真理子の視線が突き刺さるように痛い。
前田はふっと軽く笑いながら手錠を掛けられた手に拳を作って悔しそうに優華を見つめる真理子を見た。
「もうあの久保寺巡査とはたくさん遊んでますから、次は……桜井巡査の番です」
「そ……そんな……遊ぶってそんな事できる訳……」
人質を取られている事に動揺をしているのか真理子の口調がさっきの強い物から後退している。前田はここぞとばかりにテーブルの上に置いてあるデジカメを手にして操作した。
「……婦警さんって結構剛毛みたいですねえ」
「!」
デジカメの液晶画面に真理子のショーツからはみ出る陰毛の映像が浮かんだ。それを見た瞬間、真理子は顔を真っ赤にさせ、慌てて手錠につながれた両手をデジカメに伸ばした。
「そんな物を! こっちに渡しなさい!」
しかし、前田はそれを軽くいなすと再びその顔に平手を入れた。
パシッ!
「あっ!」
乾いた音と真理子の短い悲鳴が部屋に響き、彼女は動いた勢いと前田の平手打ちでソファーからカーペット敷きの床に転がった。
カーペットに積もった埃がパッと舞い、真理子の紺色の制服を白っぽく霞める。
前田はさっと転がった真理子のそばに行くと彼女の顔を片手でくっと抑え、自分の顔と向き合わせた。
「わかったろ? 婦警さんが言う事を訊かないといけない理由。これから一緒に楽しもう」
「くっ……」
真理子は顔を悔しそうにしかめ、前田を睨み続けた。しかし前田は構う事なくそんな真理子を見ていた。そしてふっと言う事を聞かない子供を見るかのような笑いをこぼした。
「じゃ、後輩と自分の写真が大切だったら俺が今からする事に対して抵抗をしちゃいけない。どうでもよければ……噛みついても突き飛ばしても何でもするんだ」
「え……」
そう言うと前田はさっと真理子の顔と自分の顔を近付けさせると、そのまま唇同士を重ね合わさせた。
「んんっ!」
一瞬、真理子の手が前田を跳ね除けさせようと動きかけたがすぐに止まり、何の抵抗もせずに前田のキスを受け入れた。だがその顔は何かに耐えるように両目をきつく閉じ、しかめたような物だった。
無理矢理にキスを奪われる真理子。優華はとても見ていられないと言いたげに顔を背けた。しかし、松永は優華の顎を掴んで真理子の方を向けさせた。
「見るんだ。誰のせいでああなってるんだ? きっかけを作った人はそれを見ないとなあ」
「…………」
優華は真理子の歪む顔を見つめ続けさせられた。
(先輩…………ごめんなさい……)
そんな真理子を見ながら優華は心の中で一つ、謝った。自分が薬を盛らなければ、いやその前にこの男達と関係を断っていれば。
しかし何を思ってももう全てが手遅れ。
真理子もこれから自分と同じ目に遭うのだと、その前触れのような強制キスを見ながら絶望の中で思った。
「……んはっ! はあはあ……」
前田が真理子の唇からパッと急に離れた。口付けの間中、舌を入れさせまいと口を閉じでいたのか、真理子は前田が口から離れると口を開き、大きく呼吸をした。
「さてと……吉田、今回はお前からだ」
「はいはい!」
前田は床に転がった真理子を再びソファに乗せ、脱げた制帽を再び被せると優華のそばにいた吉田を呼んだ。吉田はにやにやしながら軽い足取りで優華から真理子が横になるソファに飛んでいった。
「さ、最初は吉田なのか……」
楽しそうな吉田の後姿に野村は少し不満げ。するとその背後に再び優華の顎を右手で持ち続ける松永がふっと僅かに笑った。
「優華ちゃんの時はお前が最初だったろ? 順番だ順番……それにこっちには優華ちゃんがいるんだしな」
そう言うと松永は左手を再び優華のスカートの中に滑り込ませると、指で彼女の陰毛を摘んだ。
「ひっ! いやあ!」
その瞬間、優華は子猫のような甲高い声を上げ、膝を曲げて体をよじった。
「やめて! 優華に手を出さないで!」
優華の声が響くとすぐに真理子が上体を起こして優華の方を見て叫ぶような声で言った。しかし、
「どっち向いてるんだ!」
すぐに吉田が真理子の上体を押し倒し、制帽が被られた頭を掴み、無理矢理に彼の方を向けさせまた彼女の唇に己の唇を重ね合わさせようとした。
「いやっ!」
反射的に手錠を掛けられた両手で覆い被さろうとした吉田を押し返そうとした。するとちょうどそれが鳩尾辺りに入り、そこにパンチをしたような形になった。
「ぐはっ!」
たまらずソファから吉田が苦しそうに顔をしかめて転がり落ちた。真理子は足をソファから下ろし、上体を再び起こしてそのまま立ち上がろうとした。
「先輩!」
優華は拘束されながらも自分が全く出来なかった抵抗を試みている真理子を見て体に力がみなぎって来た。
今だったら松永の手を振り解いて一緒に逃げられるかも。
優華は眼前に一筋の可能性の光を見た。
「離して!」
優華が腕に力を入れ、松永の拘束から抜け出そうと体をよじったその時、
パシィン!
「キャアッ!」
部屋中に乾いた音と真理子の悲鳴が飛んだ。慌てて優華がその方を見ると真理子はまたソファに倒れ込んでいた。そばには前田が立っている。立ち上がろうとした真理子に音からしてかなり強く彼女に平手を入れた事は見た瞬間、判断できた。
前田はソファに倒れる真理子のネクタイの結び目を左手掴んで上体を起こさせると、右手を振り上げた。
パシン! パシン!
「ああっ!」
そしてお仕置きなのか、彼女の両頬に平手を何の躊躇もなく入れた。胸元を掴まれ、倒れ込む事の出来ない真理子は平手を頬に食らう度に首を左右に振られた。
「ダメだろ」
パシン!
「遊ぶって」
パシン!
「約束だろ?」
パシン!
「婦警さんが」
パシン!
「そんなのなら」
パシン!
「仕方ないな」
パシン! パシン!
都合10発、真理子の頬に平手を入れた前田はぱっとネクタイから手を離すとポケットに入れていたデジカメを取り出した。
「はあ、はあ、はあ……」
制帽が飛ぶほどの平手打ちを食らわされた真理子はがくっと頭を垂れ、目にうっすらと涙を浮べて肩で息をした。
(せ……先輩…………)
真理子が一方的に平手打ちをされる光景を見た優華は声を失い、愕然としていた。その間、なんとか止めさせようとしたが何のためらいもなく平手打ちをする前田の後姿と激しく振られる真理子の顔に恐怖で声は出ず、足は振るえ全く動く事が出来なかった。
自分を助けようとしたのに肝心の自分は何も出来なかった。
優華は自分の臆病さを呪った。
「っと……これだ」
前田は取り出したデジカメのメモリースティックを入れ変えるとある写真を液晶に浮かび上がらせてそれを真理子の目の前に提示した。
「!」
それを見た真理子は目をかっと見開き、口を開けたままで呆然とした。
真理子が見た物、それは優華が制服を肌蹴させ、制帽や顔、露になった胸、足、ブーツに白濁液を浴びせられてぽかんと濡れた口を開けて虚空を見ている画像だった。
その画像を見て愕然とする真理子に前田はふっと笑った。
「まあ、婦警さんの陰毛写真をネットでばら撒いてもいいんですけど、こっちの方がいいでしょ? 後輩の久保寺巡査が……」
「こ、これはどうしたの!」
余りの物を見せられたショックで言葉を失っていた真理子がようやく声を上げた。それに前田はまともに答えようとせずにちらっと優華の方を見た。
「それは後で本人から聞けばいいでしょう……あ、他にもありますよ」
そう言いながら前田はデジカメを操作して強制キスや浣腸、強制排泄に処女喪失後の血だらけの陰部などエロ本でもここまではさせまいと言うような次々と優華の凌辱写真を見せて行った。
「やめてっ! やめてえっ!」
思わず、真理子は金切り声のような声を上げ、そこから目を背けた。だが前田はデジカメを真理子から届かないテーブルに置くと背けた顔を自分の方に向けさせてそっと顔を寄らせた。
「自業自得ってヤツですよ。婦警さんが暴れるから……」
「お願い、優華に……優華に酷い事をしないで! わ……私をどうしてもいいから!」
その言葉を聞いた瞬間、前田はニヤッと笑いそっと彼女の顔から離れ、飛んだ制帽を手にした。
「その言葉、絶対ですよ……久保寺巡査の写真はまだあるんですしね……おい吉田、もう大丈夫か?」
そしてそれを彼女に再び被せると、ぽんとそばでうずくまる吉田の背中を軽く叩きいた。すると吉田はゆっくりと置き上がった。
「あ……はい、どうにか」
「キンタマ蹴り上げられた訳じゃねえんだから。ほら、もう大丈夫だ」
「は、はい」
吉田は前田に言われやや腰が引けたように真理子に近付き、がっと彼女の両肩を掴むとソファの上に押し倒した。
「うんっ!」
「さっきは……よくも……おい、口を開けろ! 舌ねじ込んでやる!」
吉田の顔が高潮し、目が少し釣り上がっている。真理子は言われた通りに口を開けるとそこに吉田の口が覆い被さった。
「んんんっ! んんんんんんんっ!」
口を塞がれ、くぐもった悲鳴のような声が上がる。真理子の屈辱に歪む顔や嫌々するように動く手。真理子に吉田の舌がねじ込まれているとその屈辱を知る優華はそんな彼女を見てわかった。
(ああ……せ……先……輩…………)
そんな見たくない真理子の様子だが、顎を松永に抑えられて顔を動かせない優華は顔を背ける事ができず、ただ目を閉じるしかなかった。
「後輩思いのいい先輩だな」
そんな優華の耳元で松永が嘲るように囁いた。そして、スカートから手を抜くと今度は豊かな胸に手をやり、ちゅっと優華の首筋にキスをした。
「ひっ」
「優華ちゃんは先輩思いなのかな? ん?」
「…………」
優華は松永の質問に沈黙した。
自分の危機には先輩が助けようとしたが、先輩の危機に自分は足がすくんで動けなかった。そして自分の写真をネタにされて好き勝手にされようとしている。
間違っても先輩思いではないと自分で思ったからだった。
そう思った瞬間、閉じた優華の目尻から涙が一筋、こぼれた。
そして同時に閉じた瞼の向こうでカメラのフラッシュが焚かれたかのような光を瞼越しに感じた。