第8章 退行
「ん……だいぶ奇麗になったな……いい舌遣いだったぜ、婦警さん」
松永は自分の肉棒の先を見て精液の雫が取れたのを見ると芸をした犬をねぎらうように優華の制帽をそっと撫でた。
「…………もう……いいでしょ……」
松永の肉棒から口を離した優華は制帽のつばで自分の目を隠すように俯きながらポツリと言った。そしてそっと顔を上げて松永の顔を呷るようにして見上げた。
「ここまで……したんだから…………もういいでしょ? 高橋さんを解放して……」
「何言ってんだ」
目は涙で潤み、弱々しく哀願するその表情には警察官としての威厳が欠片ほども感じられない。松永は優位な立場を見せつけるようにへっと鼻で一つ笑うと顔をずいと優華のそれに近付けた。
「まだ一人何もしていない人がいるだろ? そんで、手を付けていない所も一つ……」
「……ま、まさか……そんな……」
松永の言う「まだ手を付けていない所」それがどこだかは無論、優華には痛いほど分かった。愕然とした優華を軽く笑いながら見ていた松永はそっと「まだ何もしていない」一人、前田の方をちらっと見た。
「お待たせしました」
「ああ」
松永の言葉に前田はそっとデジカメを顔から離すとそれを松永に手渡し、自分のズボンのチャックに手をかけた。
「いやあっ! お願い許して!」
精も魂も尽き果てたかに見えた優華だったが前田が自分の肉棒をズボンから引き出そうとするのを見ると突如火が点いたように、悲鳴を上げて拘束された体を芋虫のようにくねらせて暴れた。
「松永、仰向けにさせろ」
「はい。おい、野村に吉田、そっち持て」
松永はそばにいる野村と吉田に指示を出すと松永は優華の肩を、そして残りの二人はそれぞれ両足を持った。比較的自由の聞く両足だが、大の男二人がブーツの辺りを抑え付けてその動きを封じさせた。
「やめて! お願い! お願いだからあああっ!」
優華の悲鳴を耳にしながら三人はごろんと彼女を枯葉の積もる地面の上を転がした。
「やあっ!」
優華が仰向けにされると再び剥き出しにされた両乳房が表になった。そこには枯葉や泥が僅かながらに付着し、屋外でレイプされているとそれを見ただけでも理解が出来る。
しかし逆に剥き出しになっていたヒップが裏になり、紺色のスカートが彼女の下半身を覆っていた。
「……先にこっちか」
そんな優華を目にした前田はそう呟くと、ズボンに降ろした手を止めて野村と吉田が抑え付ける両足に跨った。そして優華のスカートにあるベルトのバックルに手をかけてそれを外し始めた。
「いやっ! 外さないで! お願い!」
優華は首を上げて外されようとしている自分のベルトを見ながら悲鳴で哀願した。
「少しは静かにしろよ!」
「ひっ!」
肩を抑える松永が優華の制帽を叩いた。その瞬間、優華の体は硬直したようにびくっと一度震え、それ以降優華の口から言葉は出てこなくなった。
優華のスカートのベルトが外されるのにそれほど時間はかからなかった。前田は優華のベルトを外すとそのまま手をスカートに入れてホックをも外し、ベルト諸共スカートを掴むとそのまま力任せにそれを引き下ろした。
「いやあ……」
スカートを剥ぎ取られ、冬の風が優華の下半身を撫でる。それと同時に優華の口からこぼれるように悲鳴にもならぬ弱い声が出た。
「野村、吉田ちょっとどけ」
前田は彼女の足を持つ吉田と野村をどかせ、スカートを両足から脱がせるとぽいとその辺りに放り投げた。
優華の今の姿。
制帽はきちんと被ってはいるが、上着、シャツは肌蹴、ブラも下ろされて乳房が剥き出しになっている。スカートもなくなった上にパンティとパンストも膝下まで下ろされ、彼女の一番大切な部分を纏う物はなくなり、その姿を男達にさらしている。そして、パンティとパンストのある膝から下には黒いロングブーツがきちんと履かせられていた。
婦人警官としての跡形が残された状態での裸同然。優華には全裸よりも今の状態が恥ずかしく、そして屈辱的に思えた。
「うひょ〜。婦警さんの陰毛だ〜!」
「そ、そんなに毛深くないんだな」
「これ位がいいんだ! こんなかわいい婦警さんが剛毛だったら興醒めだぞ!」
露になった優華の下腹部に松永、野村、吉田が鬼の首を取ったような歓喜の声を上げた。
女性的なしなやかな曲線の腰回りに肉付きのいい太腿。そして股間の真ん中辺りに逆三角形状に陰毛が濃すぎず薄すぎず適度な濃さで生え揃っている。その下はと言うと、男達は見る事は出来なかった。
優華はぴたっと足を合わせ、せめて物の抵抗を見せていた。
「あ、足を広げろよ……」
「そうだそうだ!」
野村と吉田は不満げにそう言ったが、優華は首を左右に振るだけだった。
「いやっ! 絶対に!」
今までこの男達には口、胸、肛門と誰にも見せた事のない秘所を次々と暴かれ、蹂躙された。残された最後の秘所のここだけは守らなければいけない。
優華は強くそう思い、太腿に力を込めた。意地でも開かない態度の優華に吉田があからさまにむっとした表情を浮かべた。
「写真の事忘れたのか!」
「……こ、公開したければ公開すればいいわ!」
スパっとそう言い放つと優華の目に久し振りに力が宿り、吉田を睨みつけた。睨まれた吉田は戸惑ったように言葉を詰まらせ、ちらちらとすがる様に松永に視線を流した。
「……まあ、そう力むなよ。吉田も婦警さんも」
吉田とは対称的に松永は抵抗する優華を楽しんで見ているように笑うと、優華の両足に跨る前田を見た。
「前田さん、俺が使ったジェル、使います?」
「必要ないだろ?」
「いやあ、シェービングジェルなんすよ、あれ」
松永の軽そうな口元にへらっとこれまた軽い笑みが浮かんだ。前田は松永が何を言いたいのか、その口元の笑みや言葉の調子で読み取って、ふっと笑うように短く息を吐いた。
「……ジェルだけじゃ意味ないだろ?」
「ちゃーんと、用意してありますよ。鞄の中に」
「……用意がいいな。じゃ、持って来い」
前田の言葉に松永が一つ頷いた。その瞬間、松永の目がキラリと輝いた。
「……楽しそうだな」
松永の目の輝きに思わず前田はそう呟いた。そんなつぶやきを気に留めず、松永は浣腸やジェルの入っていた鞄の中をごそごそとまさぐり始めた。
「さて、婦警さん」
前田は太腿に跨るポジションを僅かに上半身へと移し、股関節の辺りに座った。そして自分のすぐそばに生える陰毛を芝生でも撫でるように掌で触った。
「いやっ! さ、触らないで……」
「見るなとか触るなとか忙しいなあ……ところで、婦警さんは処女かな?」
「!」
前田には優華が処女か非処女かが見当はついていた。しかし、悪戯っぽく敢えて優華本人に訊いた。
「………………」
優華は何も答えない。すると前田はぐっと優華の陰毛を掴むように右手に拳を作った。そして次の瞬間、
「ひっ!」
拳を思いっきり挟んだ陰毛諸共引いた。引っ張った拳を見るとその指の間に何本もの陰毛が挟まっている。前田はそれをふっと息で吹き飛ばすと再び陰毛を撫でた。
「処女? それとも……」
「…………」
何も答えない優華。前田は再び陰毛を鷲づかみにして引きちぎるようにむしった。
「いっ! や、やめて! 抜かないで!」
「処女? それとも違う?」
前田が優華の陰毛をまた掴もうと手を動かす。
「ひっ、い……しょ、処女! 処女ですっ!」
優しく問い掛ける前田の言葉に図りようもない恐怖を感じた優華は慌ててそう言う。
返事をされた前田は始めからそうしていればと言いたげにうんと頷くと手を広げて陰毛を撫でながらさらに続けた。
「そう……じゃあこの毛、いつ頃に生えました?」
「!」
そんな事まで答えるの?
優華の涙に濡れる目がはっと驚きで一瞬見開いた。
「…………」
「おや? 質問の意味がよくわからなかったかな? ここに陰毛が生えたのは何歳頃でした?」
「そ、そんな事……答えられない……いっ!」
優華が拒絶の一言を口にしたその瞬間、前田は再び優華の陰毛を力任せに何本も一気に引き抜いた。痛みと屈辱感に顔を歪める優華に前田はまた彼女に見せ付けるように引き抜いた陰毛をふっと吹き飛ばすとその顔を優しそうに見つめた。
「覚えてるでしょ? 自分のここに毛が生えるって子供にとっては大事件なんだから……何歳頃でした?」
優しくそう訊いた前田は再び優華の陰毛を撫でるようにそっと手をその上に置いた。
「…………じゅう……さ……」
「聞こえない!」
再び前田は優華の陰毛を掴むようにグッと拳を作りそれを引っ張った。拳に挟まれた陰毛が優華に痛みを残してまた何本も引き抜かれた。
「ひっ! じ、十三歳!」
「……ちょっと遅目かなあ?」
「…………友達の中では…………一番……遅く……て……」
優華の言葉の最後の方は涙声でとても聞きにくいものだった。しかし前田はまた陰毛を引き抜いて大きな声をはっきりと出させようとはせずにまた優しく陰毛を撫でた。
「そう……じゃあ、中学時代に戻ってみるか」
「?」
前田の言葉に優華は一瞬、きょとんとした無防備な表情を見せた。それと同時に松永の手が前田のそばに伸びてきていた。
「はい、前田さん。ジェルと剃刀」
松永が前田に手渡した物は優華の肛門に塗りつけたジェルとT型の安全剃刀だった。それを見た優華の顔色がほんのりした赤から驚きと恐怖の白へと変わっていく。
「な、何をするの!」
「何って、言ったでしょ? 中学の時に戻すって」
そう言いながら前田は手にジェルを適当につけるとそれを優華の陰毛に染み込ませるように塗りたくり始めた。
「いやだあっ! そんな事やめて! 本気なの!」
「冗談じゃしないよ」
そう言いながら前田はジェルを陰毛にぺたぺたと付け続けた。
空気を含んでこんもりとクッションのように柔らかった陰毛がジェルに濡れてべとっと優華の下腹部に張り付いた。ジェルは陰毛を寝かせて秋口の弱い陽射しに僅かに輝き、優華には独特のひやっとした感覚を与えていた。
「やめて……もう…………」
「動くな。手元が狂ったら血が出るぞ」
抑揚もなく淡々と言った前田の手にはジェルではなく剃刀があった。優華はそれを見た瞬間、全身が縮こまったようになって固まった。
「よーし、いい子だ」
囁くようにそう言うと前田は安全剃刀の刃をジェルで寝かされた陰毛の森の上部と地肌の境界に立てた。そしてゆっくりと肌の上を滑らせるように剃刀を下へ動かした。
薄い刃が肌に当たり、その冷たさが優華の体内を走る。刃の恐怖で硬直した優華は自分の陰毛が剃刀によって剃られる音が聞こえてくるようだった。
「うう…………」
優華の口から呻き声のようなくぐもった声が漏れる。剃刀を当てられて悲鳴を上げて暴れる訳にも行かず、ただ黙って勝手し放題にされた悔しさ、そして剃刀を肌に当てられている恐怖感。色んな感情が混ざり合った悲鳴代わりの声だった。
前田はふっと一瞬緊張を解くと優華の肌に当てられていた剃刀を肌から離した。
「自分と違って勝手が違うから緊張するな」
そう言うと前田はポケットからティッシュを取り出し、ジェルと陰毛に塗れた剃刀の刃を拭った。
「見せてください」
その拭ったティッシュを松永が見たがっていた。前田はそれを手渡すと松永はティッシュを開いた。
「見ろよ、婦警さんの陰毛だぜ」
ティッシュにはジェルに包み込まれるように塗れた陰毛が数十本、付着していた。
「き、記念にもらっておこうかな」
「今もらわなくてもまだあるぞ!」
ティッシュの中の陰毛を見ながら松永、野村、吉田の三人はげらげらと笑った。すると松永は陰毛つきのティッシュを優華に見せた。
「ほら見ろよ、自分の陰毛だぜ」
「………………」
優華は思わずティッシュから顔を背けた。他人に、しかも男に剃られたその毛が自分にとっては物凄い恥部のように思えたのだ。松永は顔を背ける優華にへへっと軽く笑った。
「そうだ。これをデジカメに撮ろう」
「……いい加減にしてっ!」
ふざけ気味に松永が言うと金切り声のような優華の声が飛んできた。優華は背けていた顔を松永に向けてきっ、と睨んだ。
「もう……いいでしょ! 私で弄ぶのは……早く……早く高橋さんや私を解放して!」
「松永」
優華の金切り声とは対照的に落ち着いた男、前田の声が優華の声の直後に流れてきた。松永は優華から前田の方に顔を向けた。
「そんな剃ったのよりも今剃ってる方がいい写真になるぞ」
「あ、そうか」
軽く笑うと松永はデジカメを持ってぴたっと締められた優華の股間に回った。
まだ弄ぶ気だ。
前田の言葉を聞いた優華はどうしようもない絶望感に包まれ、せっかく再び目に灯った力がすうっと抜けていった。
前田は再び剃刀の刃を優華の肌に当てた。
「今度は一気に行く。ちゃんと撮っておけよ」
「まかしてください」
前田は再び剃刀を優華の肌に滑らせた。
剃刀の刃に見る見る間にジェルと剃られた陰毛が付着していく。
それを撮るデジカメのフラッシュが剃刀に反射し、輝きを一層増させた。前田は高まって行く胸の鼓動を抑えながら黙って優華の陰毛を剃り続けていった。そしてその様子を口元に笑みを見せながら松永が次々と写真に収めていった。
(……どうして……どうして…………私が…………)
剃刀が肌を滑る感触や陰毛が剃られて行く感覚に優華は絶望の中で何度もそんな事を問い掛けていた。しかし、問い掛けるだけで答えが出て来ることはなかった。
優華にとってはとてつもなく長い、前田にとってはあっという間の時が流れた。
前田はポケットからティッシュを一枚取り出すと剃刀を拭い、もう一枚取り出すとジェルで濡れた優華の下腹部を拭った。
「出来たぞ、婦警さん。中学時代はこんな感じ?」
前田の問い掛けに優華は全くの無反応だった。だが、吉田が気を効かせて優華の顔を上げさせ、自分の陰毛が生えていた下腹部の方を無理矢理向けさせた。
「あ…………ああ……」
そこにはもう陰毛の一本もない、ただの肌が広がっていた。優華は屈辱と恐怖に肩を振るわせ、ぽろっと涙を一筋目尻からこぼした。
「パイパンだよ婦警さん……こんな婦警さんそうはいないだろうな」
「め、珍しいんだな」
松永と野村が茶化すようにそう言うと優華はふっと顔を背けさせた。そんな優華に前田がすっかり陰毛のなくなった下腹部にそっと手を置いた。
「まあ、いいじゃないか……より処女っぽく見える」
「…………」
「毛は時期に生え変わる。そして……」
そう言うと前田はすうっと指を滑らせてぴたっと締められた優華の両太腿の間に置いた。
「生え変わる頃には全て大人になってる。いや、今から大人にしてやるよ、婦警さん」