第6章 治療


「持ってきました」

「おう」


 俊足を飛ばして吉田がワゴン車から黒いボストンバックを持ってきた。松永はそれを受け取るとどさっと優華の足元に置いた。


「婦警さん、今からこれで婦警さんの便秘、直してやるぜ」


 そしてニヤッと笑いながら力なく頭を垂れる優華に見せ付けるようにバックのジッパーを一気に開いた。


「そ、それは……!」


 バックが開いて力なく開く優華の目が写した物、それは乱雑に詰められた数十個の箱だった。そしてその箱には『イチヂク浣腸』とはっきりと書いてあった。それを見た優華の顔からさっと血の気が引く。

 これを使って今から何をされるのか。そしてやらされる事がどんなに屈辱的な事なのか、反射的にわかったのだ。


「便秘には漢方とかピンクの小粒とか色々あるけどよ、やっぱこれが一番効くし即効性があるぜ」

「いやっ! やめて! 私をどこまで酷い目にあわせれば気が済むの!?」

「酷い目? 便秘を解消させてやろうって言うのにか?」

「でも……こんな所で……」

「いいじゃねえか。俺達しか見てねえんだしよ」


 優華の言葉に軽くいなすように軽い調子で言い返しながら松永はイチヂク浣腸の箱の蓋を開け、中味を取り出した。


「最近はノズルが動くようになって自分で射ちやすくなったんだ……自分でするか? って、両手がそれじゃむりだな」


 一人で勝手に話を進めながら松永はすくと立ち上がり、優華の突き出されたヒップの方に回った。そして左手で谷間を開くように張りのあるヒップを分けた。


「じゃ、代わりに俺が射ってやる」

「やめて! こんな所でそんな事しないでっ!」


 優華は自分のヒップの先にいる松永を完全に見る事は出来ない。松永の方を見て止めるように言えず、ただ首を左右に激しく振って拒絶の態度を示すしかなかった。


「……一週間分だから一本じゃ足りないかもな〜」

「お願い! やめて! やめてっ!」

「じゃ、一本目」


 そう言いながら松永は妙に楽しそうな表情を浮かべてイチヂク浣腸のノズルの先端を優華の肛門に刺した。そしてずっと数センチノズルを優華の肛門から体内へと刺し込んだ。


「ひっ! いやあっ!」


 さっきの指とは違った無機質で不自然に固い直線の棒状の物が刺し込まれ、優華はそのショックでビクっと体を振るわせ目をかっと一瞬、開いた。だが、浣腸はそれだけではない。松永は液が溜まっているイチヂク浣腸の膨らんだ部分をぎゅうっと絞るように摘み潰していった。


「いやあああ……」


 優華の腸内に浣腸液が流れ込んで行く。優華の口からは悲鳴にも拒絶の声にもならない弱々しい声が下腹部に注入される液体に押し出されるように漏れて来た。


「色っぽい声出すな、婦警さん! もしかしたらお尻が感じるのか!」

「さ、さっきのフェラじゃ……そ、そんなの出さなかったな……」


 吉田と野村がそんな優華の弱々しい声が篭った喘ぎ声のように聞こえたのか、興奮した様子で優華を嘲るような口調で彼女に言葉をぶつけた。優華はそれに対して首を左右に振るしか出来なかった。


「ああ……ち、違う……ああっ!」


 自分の体内に液が注入される様子は下腹部の違和感として優華に届いていた。そして違和感と同時に体が新たに下腹部に入って来た液体を排除しようとうねりをあげるように激しく下腹部を刺激し始めた。


「う……ん…………く……」

「どうしたんだ! 何も言わなくなって!」

「が、我慢はよくないんだな」


 野村と吉田の言葉にも優華はまったくの無反応だった。口を真一文字に閉め、眉間にしわを寄せて時折足踏みするように足を動かして狂ったような便意を紛らわそうとしていた。

 松永は優華の肛門からイチヂク浣腸を引き抜くと、彼女の肛門を凝視した。浣腸液を注入された肛門から注入した液体が漏れてくる事はなく、腸の中に溜まったモノを出すまいと門を引き締めている様子が彼の目に映っていた。

 松永はそんな酔って戻す寸前のような優華のもう一つの口にふっと笑うと、ちらっと吉田の方に目を移した。


「まあ、浣腸は射ってしばらくしてから出した方がより多く出るからな。でも、吉田、もう一本だ。やっぱり足りねえみたいだな」

「はい! もう一本してくれるんだとよ! 感謝しろよ!」


 吉田がぽんと優華の頭を包む紺色の制帽を軽く叩くと、バックの中のイチヂク浣腸を一つ取り出し、彼女に見えるようにしゃがんだままでそれを開封していった。


「……いや……やめ……て……」


 ぽつりと優華がやっとの思いでそばにいる吉田に口を開いた。一本注入されただけでも下腹部に蠢くような感覚を覚えるほどの便意を催している。もう一本注入などされたら。

 そんな優華の思いに吉田はへへっと小さく笑った。


「出しちまえば早えんだぞ! ここでブリブリっとな!」


 浣腸を開封しながら吉田は笑いながらそう言ってもう一発優華の制帽を叩いた。優華はそんな絶望的な返事にやめてと言いたげにただ首を左右に振るしかなかった。

 吉田は箱から浣腸を取り出すとそのキャップをちぎり外して松永に手渡した。


「はい、どうぞ!」

「よーし……ちゃんと写真、撮ってます?」

「安心しろ。顔も尻も全部撮ってる」


 ちらっとデジカメを持つ前田に訊いてその返事をもらうと松永は再び心置きなくイチヂク浣腸を手にして優華の肛門に再び対峙した。優華の肛門は必死に中味を出すまいと相変わらずその門をすぼめるようにして閉じ、僅かにひくひくと痙攣をするように蠢いていた。


「あんなに可愛い婦警さんでも……ケツは一緒だな!」


 後ろに回っても優華に聞こえるように、松永が大きな声でそういうと吉田や前田、そして野村があからさまに声を出して笑い立てた。


「いや……み、見ないで……」


 便意に耐えながら優華は絞るような声でそう言った。松永はそんな優華の声をにやっと笑いながら聞くと、手にした浣腸の細いノズルを優華の肛門に向けて近づけた。


「じゃ、婦警さん二本目いくぜ〜」

「やっ! いやああ!」


 さっきとは違って悲鳴のような声を一つ上げた優華は首を激しく左右に振った。制帽から出たポニーテールが手箒のように左右に大きく振れる。松永はそんな優華の悲鳴を聞きながら浣腸のノズルを床の肛門に差し込んだ。


「いやっ! あああ…………!」


 肛門に差し込まれた瞬間、優華の首が止まり天を仰ぐように顔を上げて絶望感に満ちた短い悲鳴を上げた。そして、松永が浣腸液をゆっくりと焦らすように注入していく間、溜息にも似た声が優華の口から上がった。


「どうだい? 婦警さん。出したくなったか?」

「…………」


 二本目の浣腸を注入すると松永は軽い調子でそう訊いた。しかし優華の口からは何も返って来ない。二本も浣腸を注入されて優華の下腹部はこれまで感じた事もないような膨満感と便意に襲われ、それに耐えるだけで精一杯になってきた。

 今の優華には松永の言葉に反応するだけの余裕はない。

 松永は優華の肛門から浣腸を引き抜いた。すると一筋だけ浣腸液が肛門から漏れ、ヒップから太腿の内側を通じて膝まで下ろされているパンティにそれが染み込んだ。


「もう限界か?」


 にたにた粘着質の笑いを浮かべながら松永はひょいと優華のヒップから顔を覗き込んだ。口を真一文字に閉め、両目もきゅっと閉めている。眉間に皺を寄せているまでは一本目注入と変わらないが、わずかに顔が赤く染まりだしていた。それは恥ずかしさからか、肛門の開閉を司る括約筋に力を込めているためか。

 いずれにせよ一本目よりもきつい便意に必死に耐えている様子がその顔からだけでよくわかった。


「おら! 出しちゃえよ!」

「む、無理はよくないよ……」


 吉田と野村の同情とも煽りとも取れる言葉にも優華はただ首を左右に振るだけで何も言わなかった。

 優華は黙ったままだったが、便意を紛らわすための足の動きに強さが出始め、時折肩や膝が震えるようになり始めた。


「ウンコに悶える婦警さんか。はっ! いいザマだ」


 吐き捨てるように松永はそう言うと、ふっとまとめて鼻から息を抜いて再び優華の肛門に目をやった。

 ピンク色でそこだけ優華の肉体ではないように思えてしまう肛門はひくひくと痙攣のような動きを繰り返していた。見ているうちに今にもここから中身が出てくるのではないかと思えた。


「やっぱり一週間の便秘って頑固だなあ……もう一押しいるみてえだ。吉田、もう一本」

「はい!」

「!」


 吉田が嬉しそうにバックからまた一つイチヂク浣腸を取り出し、開封し始めた。優華はもう一本と聞いた瞬間にびくっと肩を震わせ、二本目を開封した時よりも大きく首を左右に振った。しかし、吉田が開封する手を止める事はなかった。


「黙ってちゃ何もわかんねえよ! その口は男のチンポをしゃぶる為にだけにあるのかよ!」

「…………あ……ち…………んっ……」


 吉田の言葉を否定したい。これ以上浣腸の注入を止めるように言いたい。

 優華の口は苦しげに何か言いたそうに僅かに開くがその奥から声は出なかった。

 声を出すと一瞬だけでも肛門の力が抜け、その瞬間、男達の目の前で「中味」が一気に出るのでは。いや、出てしまう。

 優華の下腹部を襲う今まで経験した事も無いような異質で強烈で強引な便意が彼女にそんな事を思わせ、その口から言葉を出させないようにしていた。

 吉田は開封する手を少し止めるとそっと優華の高潮した顔に顔を近づけた。


「出せば楽になるぞ」

「……こ……こじゃ……い……あっ……や…………」


 古いロボットのように途切れ途切れにしか声を出せなくなっている。優華は顔を高潮させながらそんな言葉と目で吉田にやめるように訴えた。そんな絞るような声に吉田は嘲るように短く笑った。


「じゃ、どこならいいんだ?」

「…………ト…………イレ…………」

「こんな山のどこにあるんだよ! バカじゃねえか、婦警さん!」


 明かに人をバカにした口調で吉田が笑いながら言った。便意に悶える弱みにつけ込む卑劣さがあるが、今の優華にはその卑劣さに怒りで身を震わせる余裕はなく、ただ下腹部から波のように襲いかかる便意に時折肩や膝を振るわせるしかなかった。


「ここですれば楽なのによお……はい、松永さん」


 吉田は顔を赤くして便意に耐える優華を見ながらあきれ気味に溜息を一つつくと、開封した浣腸を松永に手渡した。


「一週間ぶりだからな。二本じゃ足りねえんだ。それじゃ、婦警さんだけへの大サービス。三本目」

「……ん……あっ……やあっ…………やめ……やめてぇ……」


 優華は絞るような声を出して首を左右に振った。その声や優華の落ち付かない動きに最早限界寸前である事は誰の目からでも明かであった。松永は征服感に満ちた笑みを浮かべながら浣腸を優華の決壊寸前の肛門に刺し込むと、一気にじゅっとその液を腸内にぶち込んだ。


「んああああっ……」

「どうだ? 出ねえか?」


 吐息のような悲鳴に松永は浣腸を引き抜くとひょいと肛門から顔を外し、優華の顔のそばに歩み寄った。松永が優華の顔のそばに立っても彼女は顔を赤くしてしかめ面を浮かべたままで彼の方を振り向きもしなかった。


「そろそろ出してもいいぜ。こんだけ我慢すりゃ腹ん中の一週間分のウンコ、全部出るぜ」

「…………くぅ…………んんん…………」


 優華は松永の言葉に激しく首を横に振った。

 トイレ以外での排泄など優華はした事もないし、しようと思った事もない。

 さらには婦人警官の制服を着て男達の前での排泄などしたくない。警察官の威厳やプライドを守る為にもする訳にはいかない。

 優華のここに来ての首を横に振る行動は彼女のそんな健気とも言える思いが凝縮されているようであった。便意に身悶えながらもまだプライドを守ろうとする優華を松永は少し可愛く思えて来た。


「楽になれよ婦警さん。このまま我慢したって辛いだけだぜ」

「……んんん……ト…………イ……レ」


 うわ言のようにぽつりと優華の口からそんな言葉が漏れて来た。膝はさっきよりもがくがくと大きく震え、悶えるように体も小刻みに動かし続けていつその肛門から中味が出てきてもおかしくない状況だった。

 松永は我慢で真っ赤の優華の顔にそっと自分の顔を近付けた。


「やっぱその姿勢が悪いのか? やっぱりウンコ座りをしねえと力が入らねえもんな!」

「……あ……や…………」


 松永はちらっと立ち木に優華の右肩を抑え付けている野村に視線を送ると野村はこくっと一つ頷いて肩を抑え付ける力を抜いた。そして左肩を吉田が持つと二人は同時に優華の腰辺りも押してゆっくりとしゃがませるように彼女を抑え付け始めた。


「や…………い……んっ……」


 二人の力に従って優華の膝や足首が少しずつ曲がり始めた。両足にぴったり嵌るブーツの足首の部分からレザーが軋むような音が立つ。


「い…………あっ……やめ……」


 優華は首を小さく左右に振りながら少しずつしゃがんでいった。しゃがむに連れて優華の括約筋は左右に伸び、引き締めていた肛門を開こうとしていった。

 凄まじい便意と肛門を広げようとする動き。優華の婦人警官としての威厳、女性としての羞恥心やプライドを守る忍耐にも限界が近付いて来た。


「い……や…………あんっ…………ふああああっ!」


 優華の腰が完全に落ち、和式便器に座った体位と同じになったその時、彼女の口から悲鳴ともなんともつかぬ声がついた。

 そして、その次の瞬間、


 ブブッ! ブリブリブリッ!


 優華の開いた肛門から可愛いその顔に似つかわしくない音がたち、それと同時に注入された浣腸液と共にこげ茶色の物体が噴射されたように勢いよく出て来た。


「ああっ! いやあああっ! み……見ないでええっ!」


 優華は自分の意思と全く関係なく排泄される様子をにやにや笑いながら見る男達に哀願するようにそう言った。だが哀願する優華とは対象的に肛門からは音を立てながら次々と排泄物が出て来た。


 ビチッ! ブリブリッ! ビチャビチャ!


「く……くせえな……婦警さん……」

「一週間も我慢してりゃこんなに臭くなるんだな!」


 吉田と野村は見せつけるように鼻を摘みながら哀願する優華の顔を見てぽんぽんと涙に濡れる頬を軽く叩いた。


「いやあっ! ああああああっ!」


 ビチャビチャビチャ! ブリブリブリッ…………


 自分の肛門から上がる音に優華はとてつもない羞恥を感じた。それを感じた直後に排泄物の臭いや排泄物その物が涙に煙る視界の向こうに僅かだが映り、音以上の羞恥を感じる事となった。

 羞恥に塗れた優華の目からは涙がまた浮かび、がくっとその頭を糸の切れた操り人形のように垂らした。


「…………み……ない……で……」


 優華のヒップの下にはあっという間にこんもりと排泄されたこげ茶色の物体が盛り土のように積み上がった。一週間ぶりの大便は強制的に、しかも婦人警官の制服を着たままで男達に見られた物だった。

 優華はすすり泣きながら耐えに耐えて来た疲労ではあはあと肩で大きく息をした。


「全部出たか?」


 優華の肛門からは物体も液体も音も出なくなったのを見た松永が彼女の顔を覗き込んでそう訊いた。優華は返事をせずただ俯いたままですすり泣くだけだった。


「一週間ぶりのウンコだ。どうだ、気持ちよかったろ?」


 これが家のトイレで一人でやっていたらどれほど気持ちよく清々しい物だったろうか。

 優華には便秘が開けた排泄直後の清々しさや下腹部が軽くなる快感を全く感じる事は出来なかった。

 ただ屈辱、羞恥だけが優華の心に残った。

 全く返事をしない優華に松永は予測をしていたのか怒るでなくふっと笑うと優華のそばに立つ野村と吉田をちらっと見た。


「全部出たみてえだから、立たせろ」


 松永がそう指示を出すと野村と吉田が優華の両脇を抱えると再び木に寄りかかったような体勢に彼女を立たせた。

 そして松永は自分のズボンのポケットからサラ金のポケットティッシュを取り出すとそれで優華の肛門についた浣腸液や便、そこから太腿へと垂れた茶色に染まった浣腸液を丁寧に拭き取った。


「奇麗にしてやったぜ、婦警さん。やっぱりケツの穴は清潔にしねえとな」

「…………」


 優華は何も言わずただはあはあと屈辱に塗れたままで大きく息をするだけだった。しかし松永にはただ大きく息をしているだけの婦人警官、優華がとても色っぽく見える。

 松永はにやつきながらそっと張りのある優華のヒップを撫でた。


「これで婦警さんの腹ん中は空っぽ。心置きなくこのケツを楽しめるぜ!」


 茶色く染まって行くポケットティッシュを優華の排泄した物の上に投げ捨てるとぴしゃっと張りのあるヒップを叩いた。


「いっ! ……もう……やめて…………こんな事まで……したんだから……」


 涙で濡れる瞳で松永に弱々しく優華がそう訴えかけた。優華にとって人前で、しかも犯罪者の男の前で自分の排泄する所を見るなど考えた事もない事であった。

 フェラチオと野外排泄で婦人警官、いやその前に女性としてのプライドが蹂躙され、優華はそれに邪魔される事なく男達に屈するように哀願した。松永はそんな優華にぞくっと来る物を感じ、優華の顔に自分の顔を近づけた。


「やめて、じゃないだろ婦警さん。人に物を頼む時はちゃんと言い方があるだろ?」

「…………や……やめて……」


 ためらいがちに優華が口を開く。しかしその先がまだ欠片ほどの婦人警官のプライドが邪魔をするのかなかなか出てこない。しかし、それがなくなるのも時間の問題だった。


「……やめて……ください…………もう…………これ以上は……」


 瞳を涙で濡らしてためらいがちに言う優華の顔は当然のように前田がデジカメに収めていた。デジカメに切り取られた優華の表情は人形のように妙に無感情であるように前田には見えた。


「……もう追い詰められる所まで追い詰められて、感情を表すほど余裕がないんだな」


 そんな優華を見ながらポツリと前田は独り言のように呟いた。そしてファインダーから顔を離すと追い詰められた優華を弄ぶのを楽しむように笑っている松永を見た。


「堅物の婦警をここまで追い詰めるんだから……やっぱり松永の追い詰める技術はすげえな……これからもこの婦警を繋ぎ止めるには……必要な味方だな……」


 前田がそんな事を思い、呟いていると松永が俯く優華の顔の顎に手をかけ、くっと自分の顔を見上げるように引き上げた。


「やだね。こんな半端な所で止めるのは。それにまだ本番じゃねえぜ」


 優華をさらに絶望に叩き落す一言を言う松永の目が再びらんと輝き、対称的に優華の目に絶望の闇が広がった。


「……そんな……まだ……」

「ああ、そうさ。そのお尻を楽しむ為にこうして浣腸をしたんだぜ。おらっ! 来るんだ!」


 松永は優華のネクタイを掴むと馬を曳くように引っ張った。


「いやっ!」


 優華は首を曳かれてよろよろっとよろめきながら曳かれた方に二歩三歩歩いた。だが、パンストとパンティが両膝まで下ろされまともに歩き続ける事などきる訳がなく、大きくバランスを崩したその瞬間に、


「あっ!」

 

 枯葉の積もる地面に胸からヒップから太腿にかけてを剥き出しにされた状態でうつ伏せに倒れ込んだ。


「ん? ここでして欲しいのか?」


 両手を後ろ手に拘束されて自力で立ちあがれない事をいい事に松永はニヤッと笑いながらぱっとネクタイから手を離し、再び後に回った。


「んじゃ、早速」

「いやあっ! やめて! お願いだからああっ!」


  倒れ込んだ優華はただそう悲鳴を上げるしかなかった。

地面に顔を横にして倒れ込んで優華の目に映る物。それは数歩先で自分が排泄した排泄物の山だった。

 そしてその有機臭が優華の鼻を突き続けたが、再び松永が自分の見えない背後に回った事でそれに神経を向ける余裕はなくなっていた。



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