第5章 触診
「へへ、婦警さん」
制服を乱され、胸の処女峰を蹂躙された上に精液と屈辱に塗れた優華。その視線の高さに合わすように松永が彼女の脇にしゃがみ、俯く彼女の顔をにやついた笑みを浮かべながら見た。
「今度は俺の番だぜ」
「……ま……また……?」
目深に被った婦警の制帽の鍔に隠された優華の潤んだ目が松永の顔を見た。その目には最早婦人警官としての鋭い眼光はなく、不安と恐怖に支配された女の哀れみすら感じさせる薄暗い闇が浮かんでいた。
松永はそんな優華を見るとへへっと満足げな笑みを見せた。
「いいや。俺は野村や吉田みてえにはしねえよ……ところで婦警さん、最近ウンコした?」
「!」
突然に妙な事を訊かれ、優華は沈みかけていた目を一瞬、はっと開いて戸惑い気味に視線を松永の顔や誰もいない方向へと泳がせた。
「そ……そんな事…………あ、あなたには関係ないでしょ……」
「いいじゃんかよ。婦警さんや仲間はいつも関係ない事を俺達や俺達の仲間に質問してるんだからよ」
松永がそう言うと松永のそばで優華を見下ろす吉田がおもしろいとばかりに笑った。
「はははっ! そうだそうだ! しかも答えなかったら交番に連れて行かれるんだぞ!」
「……そ、それは職務質問で…………」
優華は警察官として行なって当然と思っていた職務質問だが、松永達にはそれすら気に障っていたようだった。彼女は絞るような小さな声で自分が警察官の職務として行なっていた職務質問の事を説明しようとしたが、すぐにその言葉は途切れた。
この獣みたいな人達に何を言ってもダメ。どんな正論を行ってもわかってくれないしわかる訳もない。
無力な老婆を人質に取る前田と松永、そしてさっきの野村と吉田。彼らが言った事や自分にした事からそんな男達への諦めにも似た感情が優華の精液で濡れる口から言葉を切らせた。
「職務質問だかなんだか知らねえが……答えろよ。ウンコは最近したか? それとも便秘か?」
「…………」
優華の口が真一文字に再び固く閉じられた。
(この質問に答えたら、悪ノリをするに決まってる……)
松永から視線を外し、今できる精一杯の抵抗を優華は試みた。そんな優華に松永は怒るでも催促するでもなく、むしろこのまま黙り込むのを期待するかのようなねちっこい笑みを口元に浮かべていた。
沈黙の時が十数秒続くと松永がやれやれと言いたげな薄い溜息を一つ、ついた。
「……それとさっき、婦警さんは『関係ない』って言ってたが……この事は関係あるんだ」
「…………」
松永の言葉にも優華の口は開かない。再び沈黙の時が流れると取り巻くようにして見ていた吉田が痺れを切らせた。
「言えよ!」
「そ、そうだ……またその口に……」
続いて野村が優華への脅し文句を言おうとしたその時、さっと二人に向かって前田が遮るように右腕を伸ばした。
「黙ってろ」
そして抑揚がなく、感情が全く表に出ていない淡々とした声で短くそう言った。さらにそれほど鋭くない目からさっと流し目を一つ、二人に送った。
視線を感じた野村と吉田は口をつぐみ、黙って松永と優華を見た。
松永はちらっと前田を見てほんの僅かに首を縦に動かすと再び優華の顔を見た。
「……そうこなくっちゃ、婦警さん……。まあ、いいぜ。教えてくれないなら……」
そして口元の笑みをそのままに優華の耳元にそっと自分の顔を近付けると、息を吹き掛けるように囁いた。
「俺が調べてやるぜ」
「えっ」
真一文字に閉められた口が僅かに開き、短く声が上げた。
松永は優華から顔を離すとそばにいる野村と吉田を見上げた。
「野村、吉田、手伝え。婦警さんを立たせるんだ」
「は、はい」
「よし。ほら立てよっ!」
野村が優華の右脇を、吉田が左脇をそれぞれ抱えて優華を立たせた。
「な……なに……?」
無理矢理に立たされた優華は戸惑い気味に左右の脇を持つ野村と吉田を見た。優華が立ち上がると顔に垂れていた精液がポタポタと顎から地面や足元のブーツの上に落ち、剥き出しとなった乳房が僅かに揺れた。無論、立たされた優華を前田はデジカメに収めていた。
シャッターボタンを押しながら前田は立ち上がった優華が座って強制フェラをされていた時よりも惨めで背徳的に見えた。
立ち上がる事で所定の位置に所定の状況であるロングブーツやスカート、そして制帽とはだけた上着とシャツ、露になった乳房、精液塗れの顔や肌や制帽の対比がはっきりとし、普段の高圧的な婦人警察官が屈辱に塗れている様子がより鮮明に映ったのだ。
松永はちらっと野村と吉田を見ると一つうんと頷き、数歩先の立ち木を指差した。
「そこの木に寄り掛からせろ。ケツをこっちに向けてな」
野村と吉田は松永の支持通りに両脇を抱えた優華を引き摺るように数歩歩かせ、その上半身を四十五度程倒して彼女と向かい合うように立つ木に彼女の右肩をかけさせた。そして右脇を持っていた野村がぐっと固定させるように優華の小さな肩を木に抑え付けた。
「うっ……な、何をする気……」
お尻を突き出したような状態で立たされた優華は肩越しに後ろを見た。今までとは明らかに違う展開にこれ以上何をされるのか、不安だった。
松永はそんな不安げな優華を見ながらへへっと軽く笑った。
「何って……婦警さんが便秘かどうか見てやるのさ」
そう言うと松永は優華の下半身を覆う紺色のスカートの裾を掴むとゆっくりとそれを引き上げた。
「い、いやっ! 何をしているの!」
「こうしねえとわかんねえじゃねえかよ」
優華の金切り声にも似た声にさも当然と言いたげに松永がそう言った。松永は優華の制服のスカートをたくし上げてその裾をスカートのベルトに押し込んでスカートがめくれた状態で固定させた。
彼の眼前に薄いベージュのパンティーストッキングに覆われた、純白のパンティが包む優華の引き締まったヒップが姿を見せた。
松永はパンストの上から優華の張りのあるヒップを大切そうに撫でた。
「胸と一緒だな……いいケツしてるぜ」
「いやっ! やめて!」
松永の手から逃れようと優華は体をよじったが、右肩を抑える野村によってあまり体が動かず、その手から逃れる事は出来なかった。優華は自分のヒップの上で動く松永の手が不気味に、そして気味悪く感じられた。
「さてと……こんな事よりも……」
松永はぼそっと自分に言うようにそう呟くと、パンストのゴムの部分に手をかけ、一気に下へと脱がせるように下ろした。
「いやあっ!」
パンストはロングブーツの淵にまで下ろされ、ヒップから太腿、膝裏にかけての張りのある若い肌が露となった。さらに松永は優華の白いパンティにまで手をかけた。
「やめて! やめてっ! いやあああっ!」
自分の顔についた精液を振るい落とすように優華は髪を振り乱して首を激しく左右に振った。そんな優華の蟷螂の鎌にも似た抵抗に笑いながら松永は手にかけたパンティもパンスト同様、ブーツを履いた膝まで脱がせた。脚が左右に少し開いているせいで膝まで下ろされたパンストとパンティが膝の部分で伸びている。
「撮るぞ」
パンティが下げられ、優華のヒップから遮る物がなくなると早速それに向かい合うように前田が松永の横に立った。
「どうぞ。ケツの皺までなんでも撮ってやってください」
にやついた顔の松永が全てを言い切る前に前田はデジカメを手に下ろされたパンストやパンティ、そして露になったヒップ、さらには割れ目の奥の肛門まで次々とデジカメに収めていった。
「撮らないで! そんなの撮らないでっ!」
「なぜ? 撮らないと勿体無い」
優華の哀願にも似た叫びも前田には届かない。それからさらに優華のヒップがフラッシュに何度も照らされた。
「……本当に先でいいんですか?」
確認するように松永が訊くと前田はデジカメを構えながら一つ頷いた。
「ああ。後ろは俺の趣味じゃない。好きなようにしろ」
「へへっ」
前田のデジカメを撮る手が止まった瞬間、松永は小さく笑いながら自分の右手の中指を口に入れ、指をしゃぶった。そしてたっぷりと唾を中指につけた。
指をくわえた松永をちらっと見た前田はふっと苦笑いのような笑みを浮かべると、さっと彼女のヒップからデジカメを離し、新たなシャッターチャンスを待つのか、松永の背後に回った。
前田が優華から離れると松永は口から中指を抜いて前田と入れ替るように優華の背後に迫った。
「んじゃ、婦警さんが便秘かどうか……調べてやるよ」
そう言いながら松永は優華のお尻に左手をかけ、唾で濡れた中指をゆっくりとその割れ目に近付けて行った。
「な、何をするの! やめて! やめてええええっ!」
自分の背後で何をされているのかわからない。優華は波のように襲い掛かる恐怖に火がついたように叫び始めた。そして優華が次に感じた物。それは自分の中に濡れた棒のような物が押し込まれた感覚だった。
「いやっ! いやっ! どこを触ってるの!」
優華の目からもう枯れたと思っていた涙がまた湧き、こぼれた。今までとは違う恐怖、屈辱感が優華を襲い始めたのだ。
松永はそんな悲鳴を心地よく聞きながら濡らした中指をヒップの割れ目の奥にある肛門の口につけた。
「便秘かどうか調べてやるぜ!」
「や、やめて!」
いくら処女で男が何をしようか想像すら出来ない優華でも今から松永が何をしようとしているのか。わかりたくないがわかった。
松永は唾で濡らした中指を優華の肛門の口から一気にその中へと押し込んだ。
「ひっ! ん、いやあああっ!」
優華の下腹部に今まで経験した事のない挿入感が走った。松永が中指を曲げたり伸ばしたり、回したりと好き勝手に動かせ始めると優華は何とも言えぬ、嫌悪感が肛門を通じて背筋を走った。
「……婦警さん、便秘だろ?」
松永はニヤッと笑いながら中指を包む生暖かさや指の付け根を詰め付ける肛門の心地よい圧迫感を感じながら、首を何度も振る優華にその後頭部を見ながらそう訊いた。
「やめて! 指を! 指を抜いて! お願いだからっ!」
自分の肛門に他人の指が入れられた事に混乱しているのか、優華が松永の質問に答える事はなかった。そんな楽しむ松永にそっと笑いながら吉田が近付き、指の入った優華の肛門を見物し始めた。
「わかるんですか? 婦警が便秘だって」
「ああ、指先にしっかりとなんか、感じるからな。ぬちょぬちょしたと言うか何と言うか」
「へっ! 婦警さん、ウンコ溜まってるんだ!」
嘲るように吉田が言うと優華は涙を流しながら何度も何度も首を横に振った。
「もうやめて! お願い!」
「便秘だったのか? 婦警さん」
松永が見せ付けるように同じ質問を繰り返した。何を言わんとしているのか、混乱する優華の頭にも理解が出来た。
「……そ、そうよ! だからやめて!」
「何日出てない〜?」
「……!」
嘲るような松永の口調。普段なら逆らう事の出来ない婦人警官を支配下に収めている事を優華にわからせようとするように前田はそんな質問をさらに投げかけた。
こんな質問に答えたくないし、答えるべきじゃない。
優華はそう思ったが、答えない限り下腹部の中を蠢く松永の指がなくなる事がない事も同時にわかり切っていた。
「何日出てないって訊いてるんだよ!」
なかなか答えない優華に松永の指が優華の腸の中でぐにょぐにょと蠢き、彼女の体内を不気味に刺激した。
「ひっ! ……い……一週間……」
恥ずかしさと屈辱感に顔を歪め、僅かに頬を赤くさせながら優華がぽつりと答えた。
「そんなに溜まっちゃ体に悪いぜ……早く出してやらねえとな」
優華の消えそうな声に松永は征服感に満ちた僅かな笑みをこぼしながら一気に彼女の肛門から指を引き抜いた。
「んあっ」
下腹部を満たしていた異物感が急になくなり、思わず優華の口から安堵の吐息が漏れた。そして、叫び疲れたのか、木に寄りかかりながらはあはあとかなり乱れた息を繰り返した。
指を抜いた松永は笑いながら自分の中指を吉田に見せた。
「見ろよ。婦警さんのウンコ」
松永の指先には確かに茶色いペースト状の物体が付着していた。
「指が届く所にまで溜まってるんだ!」
ふざけるような吉田の言葉は肩で激しく息をする優華には届かず、彼女は返事もせずに乱れた息をさらに繰り返していた。
そんな優華の顔を前田がデジカメで撮ると、松永の方にレンズを向けた。レンズが自分の方に向けられた松永は中指を見せ付けるようにその方に差し出した。
「婦警のウンコです。しっかり撮ってくださいよ」
らんらんと輝く目を前田に向けて、誇るように優華の便がついた中指を突き立てる松永。前田は笑うでもしかめるでもなく、努めて無表情でシャッターを切った。
「撮ったぞ」
前田が素っ気無い口調でそう言うと松永はすぐに優華が着ているシャツの裾で中指を拭った。白い警察官の制服であるシャツの裾に茶色い汚れが擦りつけられていく。
「……やめて……制服を…………汚さないで……」
「いいじゃんかよ。上着や帽子はもうザーメンで汚れてるんだろ?」
荒い息の合間に漏らす優華の小さな制止を求める声も松永のふざけ気味の返事で消えてしまう。松永の返事を聞いた優華はまた荒い息を繰り返して何も言わなくなった。
松永は中指から汚れを粗方シャツにつけて落すと、ちらっと吉田に視線を送った。
「吉田、道路に止めたワゴンに黒い鞄があるから持って来い」
「はい」
短く返事をした吉田は枯葉を踏みつけながら道路に向かって駆けて行った。
「やるんだな」
遠ざかる吉田の足音を聞きながら乱れた息を繰り返す優華の顔をデジカメに収める前田が真っ直ぐな調子の声で言うと、松永は目をらんと輝かせて一つ頷いた。
「これからシャッターチャンスが増えますから」
「さっきの指を入れたのも収めたが……それ以上の物が取れそうだな」
そう言いながら前田はデジカメのメモリー残量を見ながらふっと一つ息をついた。
「あんまり私の趣味じゃないんだがな」
「人それぞれっすよ」
そう言いながら松永はぺしっと優華のヒップを叩いた。
「いっ!」
優華が短く悲鳴を上げると彼はけらけらと笑った。
その笑いは子供がアリやトンボをいたぶる時に浮かべる残酷な中にも純粋さがある、ある意味透明度の高い澄んだ笑みであるように前田は思った。