第4章 我慢


「いやっ! いやだあああっ!」


 優華が必死になって野村から顔を目一杯背け、目をキュッと閉じながら猛烈な拒絶反応を男達に示すように悲鳴を上げていた。

 そんな優華の顔のそばには野村が立ち、ズボンのファスナーを下ろして真っ赤に充血し、いきり立って「怒張」と言う表現がぴったりな肉棒を曝け出していた。


「あーあ、野村のをこんな風にしちまったか……婦警さんも悪いヤツだねえ」


 ふざけ気味に呆れたような口調で松永が図体に似つかわしい野村の肉棒を見ながらぽんぽんと優華の制帽を軽く叩いた。

 野村は反り返って先が天を向く自分の肉棒を掴みながら優華の顔にそれを近付けた。


「し、しゃぶれよ……ふ、婦警さん……」

「…………!」


 野村の命令に今まで悲鳴を上げていた優華の口がぴたっと塞がれた。

 さっきは舌でまだ耐えられた。でも、あんな汚い物を自分の口に入れられたら――。

 優華は口を真一文字に閉めながら今まで感じた事のないような恐怖に心を振るわせながらひたすら上唇と下唇に全神経を集中させた。


「く、口開けろよぉ」


 野村は肉棒の先端を優華の柔らかな頬になすり付けた。


(……た、耐えるのよ……口を開けたら……)


 肉棒で頬が窪み、顔が歪んでも優華はひたすら自分を励ましながらきゅっと口を締め続けた。野村の肉棒が当たる頬からは人間の体温とは思えないくらいの熱が伝わり、同時に肉棒の先端を濡らす透明な粘着質の体液が付着し、それがわずかに頬を冷やした。


「……開けろって言ってるだろぉ!」


 必死に口を閉じ続けていると野村の表情がカッと怒りを含んだ鬼のような形相になり、語気が急に強くなった。同時に優華の頬に押し付けていた肉棒をぐっとさらに強く押し付け、優華の顔をさらに歪めた。


(ううっ……我慢よ……こんな事がいつまでも続く訳がない……)


 それでも優華の口は僅かにも開かなかった。口が閉じられている事で必然的に鼻からの呼吸が荒くなっていく。


「口開けねえと殺すぞ!」


 野村の言葉がエスカレートし始めた。初めて「殺す」と言う単語が彼の口を付いた。優華はその言葉にぴくん、と肩を僅かに振るわせたがそれでも口を開けなかった。


「なあ、婦警さん、少しサービスしてやれよ」


 頑なまでの優華の態度にちらちらと野村の鬼のような表情を上目遣いに伺いながらぼそっとそう言った。


「あいつ、キレたら俺達にも手がつけられねえしよお……本当に何もしてやらなかったら殺されるぜ」

「松永さんの言う通りだぞ。諦めろよ!」

「…………」


 松永とその後に続いた吉田の言葉にも優華の口は開かない。


(そんな脅しに乗らない……私は……警察官なのよ……)


 屈辱に塗れる優華を支えている自分は警察官だと言う自負。本当ならば泣いて助けて欲しいと哀願する所を未だに毅然とした態度でいる優華をこれが支えていた。


(……こいつらにレイプされるくらいなら…………私は……)


 このままの時間が過ぎ去れば。

 優華はそう思ってひたすらに口と目を閉じ続けた。

 そんな彼女の表情を前田はデジカメで取り続けていた。そして、ふとカメラを顔から離すとそっと彼女の耳元に自分の顔を近付けた。


「まさか婦警さん、あの婆さんの事、わすれてないだろう」

「!」


 優華の耳元で前田がそう囁いた瞬間、彼女ははっと目を見開いて前田を睨んだ。

 優華の鋭い視線が前田の顔に刺さるが今の前田にはそれすら気持ちよく感じられた。ふふっと小さく笑うとさらに彼女に耳打ちをした。


「どうすれば婆さんを無事に助けられるか……婦警さんにはわかるでしょ?」

「……くっ」


 優華は前田を睨みながら悔しさに歯軋りをした。

 口を開けてあの汚れた肉棒をしゃぶれば助けてやる。しかもカメラの前で。

 前田がそう言わなくともそう言いたいとわかった。

 犯罪者の脅しに屈してはいけない。でも、本当に人質を取られている。


(どうすれば……!)


 優華の心は揺れた。再びキュッと閉じた瞼に押入れに押し込まれた高橋のお婆さんの姿が映った。

 私がもう少し我慢すれば、高橋さんは助けられる。

 犯罪者に屈したんじゃない。犯罪に巻き込まれた被害者を救う為に――。

 優華は恐る恐る顔を野村のいきり立つ肉棒の方に向けた。そして、ついに真一文字に閉じられていた口をゆっくりと開き始めた。


「う、うおおおっ!」

「むぐっ! んんんっ!」


 まだ口が開ききっていないと言うのに野村は雄叫びのような声を上げて自分の肉棒を優華の口に押し込んだ。あっという間にそんなに大きくない優華の口が大きな野村の膨張した肉棒に埋められ、一瞬、優華は窒息しそうになった。


「へへっ! 話せばわかるじゃねえか婦警さん! くわえるだけじゃなくてちゃんと舌を使えよ」

「歯を立てるんじゃないぞ!」


 優華が口を開けて野村の肉棒を受け入れた事に松永と吉田ははしゃぎ気味に喜んだ。そして松永が優華の首と後頭部に手をかけて優華の頭を無理矢理にピストン運動をするように前後に動かし始めた。


「んんんんんんッ! んんんんんっ!」


 優華の上下の唇がいきり立つ野村の肉棒を擦り、苦しそうに動かす舌が口腔内の肉棒に当たりさらにそれを刺激していた。


「へ……へへ……くわえるだけじゃなくて吸えよお……」


 下世話な笑みを浮かべながら野村が命令をする。

 こんなヤツの穢れた部分が自分の口内に。

 いかに警察官としての自負や使命感が支えているとは言え、どうしようもない嫌悪と屈辱が華奢な優華の体を包み始めていた。優華の頭が前後に振れるに連れてきゅっと閉じられた両目からは涙がこぼれた。

 そんな優華のフェラチオを前田はしっかりとデジカメに収めていた。

婦警の制帽を被った優華が涙を流しながら男の肉棒をしゃぶる。

今、目の前で繰り広げられる出来事を漏らすまいといろんなアングルから優華の顔や制帽、はだけた制服などを撮り続けた。


「んっ! んんんんんんっ!」


 口を埋められた優華はうめくようなくぐもった声しか上げられなかった。

 口の中の肉棒は熱病にでもかかったように熱く、硬直したように固い。

 優華はそれを歯で噛み切れればどんなに楽になるか、ポツリとそう考えたが、そうした瞬間に自分と高橋の命はない。


(……た、高橋さんのためよ……た、耐えるのよ)


 自分を励ますように何度もそう思いながら野村の肉棒をくわえ続け、自分の意思とは関係なく野村の熱された鉄棒のような肉棒を刺激し続けていた。


「野村、どうだ? 婦警さんのフェラチオは?」


 そんな悲壮なまでの覚悟で野村の肉棒をくわえる優華をバカにするように松永がにやにや笑いながら野村の顔を見上げた。


「な、なかなか……ちょっと頭を止めて……舐めさせよう……」

「そうだな」


 ここで松永の手が止まった。動きの止まった優華だが一息付いている暇はない。


「な、舐めな……婦警さん」


 松永の命令に優華の背筋が凍り付いた。

 口に入れるだけでも吐き気がしそうだというのに、さらにそれを舐めろと。

 今まで優華は男の性器をくわえたり舐めたりするなどと考えた事もなかった。しかも、犯罪者に無理矢理。


(……ま、まだ……そんな事を……)


 途方もない時間、自分の口に野村の肉棒を入れられたように感じていた優華は一瞬、絶望的な感情を感じた。しかし、男達の手中には高橋の命がある。優華にそれを拒むと言う選択肢はなかった。

 優華は口の中にある野村の肉棒の先をためらいがちにちろちろと舐め始めた。

 ぴちゃ……くちゃ……。

 優華の唾で濡れる野村の性器を舌が舐める度に唇が動き、その度に淫靡な音が優華の耳に届いた。


「へへ……そ、そうだ……アイスを舐めるみたいによお……お、表だけじゃなくて裏も使って……」


 さっきまでの鬼のような形相が嘘のように普段の埴輪のような扁平な顔になった野村。しかし、その表情に僅かに気持ちよさを感じ始めているのか、恍惚が少し、浮かんでいるようだった。

 優華の頭に被せられている制帽を野村はそっと愛しそうに撫でた。

 そんな様子を松永は優華の頭を前後に動かせながら白い歯を見せながら見ていた。


「どうだ? 婦警さんのフェラチオ」

「な……なかなか……いい……でも……ぎこちない……は、初めてなんじゃないか? 婦警さん」

「そうか! へっ! 少しは遊んで俺達みたいなヤツの気持ちを勉強した方がいいぜ! 婦警さん!」

「そうだそうだ! 野村、たっぷり教えてやれ!」


 松永に続いて吉田もその細めの目を鋭く輝かせて言った。


「んっ……んあ……」


 優華は野村の言う通りに舌の表側や裏側を使って肉棒の先端をぎこちない舌遣いで舐めていった。


(……高橋さんのためよ……高橋さんのためよ……)


 題目のように優華は何度も心の中でそう唱え、融解しそうな婦人警官としてのプライドを必死に維持させた。そして目を閉じてひたすらに野村の肉棒を舐め続けた。


「……はあ」


 その時、不意に野村から溜息のような息が一つ、漏れた。


「松永さん、そろそろ」


 それを聞いた吉田がさっと松永に進言するように一言声をかけると彼はにやっと一つ、笑った。


「よし! そろそろフィニッシュか!」


 そう言うと松永は再び優華の後頭部と首根っこを掴むと激しくピストン運動を始めた。

 じゅぷ、じゅぷ、じゅぶ!

 優華の頭が前後に動く度に彼女の口から自分の唾が漏れ、口元から顎にかけて垂れ始めた。そして唾で濡れ切った口と肉棒がさっき以上に淫靡な音を立て始めた。


「んんんんんんんっ! んんんんんんっ!」


 自分の口の中の肉棒の温度が僅かに上がったように優華は感じた。そしてこれから何が起きようとしているのか、まるでわからずにただひたすら頭を振らされていた。

 フィニッシュって――? そろそろ何が起きるの――?

 松永達が言った言葉の意味がわからず、自問するようにそう思ったその時、


「うっ! うあああああっ!」


 突然、野村が素っ頓狂な声を上げた。その瞬間、松永はぐいっと優華の頭を引き、松永の肉棒から彼女の口を引き離した。


「んあっ!」


 突然、口が解放され、冷たい空気が口に流れ込んで来た。そして閉じていた瞼を開けて涙で潤む目を野村に向けた。


「で、出るっ! ああっ!」


 優華が顔を向けた先には野村の肉棒の先端があった。野村がそんな声を上げた瞬間、よほど溜まっていたのか、そこからおびただしい量の白濁液が優華の顔に向かって飛び散らされた。


「きゃああっ!」


 優華の整った顔や髪、制帽、鎖骨の窪みやはだけた胸に白濁液が飛び散る。優華は再び瞼を閉じて顔を背けようとしたが遅かった。野村の肉棒から撒かれた精液は次々と優華に付着していった。

 顔に付いた白濁液は野村の肉棒同様、とても熱く感じられた。


「……顔射って、AVじゃねえんだからよ」


 どくんどくんと脈打ちながら優華の顔や紺色の制帽、そして制服や胸に精液を撒く野村に松永が軽く笑いながら、同時にやや呆れた様子でそう言った。


「はあはあ……で、でも……ふ、婦警にこうするのは……いい気分なんだな……」


 精液の分泌が一段落ついた野村が肩で息をしながら満足げに呟いた。少しずつ萎えていくとする肉棒からは飛び散る勢いのない精液が一筋、重力に従って垂れて、優華の脚を覆う黒のロングブーツに落ちた。

 それを見た野村はそんな肉棒を手にすると再びその先端を優華に押し付けた。


「き、奇麗に先っぽを舐めるんだ……」

「……くすん……まだ……まだ……舐め……」


 顔や制服を精液塗れにさせた優華がすすり泣きながら消えるような声で訊いた。だが、野村からの答えはなく、ただずいと精液で濡れる自分の肉棒を突き出すだけだった。

 答えるまでもない、と言う事だろうか。

 優華はすすり泣きながらゆっくりと再び野村の肉棒を口に含み、ぺろぺろとそれを舐め始めた。

 そんな優華を松永がにやつきながら見た。


「結構婦警さん、好きなんじゃねえか? フェラチオ」

「…………」


 野村の肉棒を舐めながら優華は力なく首を左右に振った。精液と屈辱に塗れ、脱力感に襲われているようである。そして、優華が野村の肉棒から口を離した。口とその先端を繋げるように粘着質の体液がつつっと糸を一筋、引いた。

 優華は精液塗れの顔を松永の方に向けた。


「もう……もういいでしょ……た、高橋さんを解放……しなさい……」


 途切れ途切れの優華の言葉に松永は不意におかしさを感じ、声を上げて笑い出した。


「ザーメン塗れの顔で何命令してるんだよ! 俺達はもう婦警さんは怖くねえんだよ。命令して従うと思ってるのかよ!」

「そ、そんな……じゃあ、高橋さんは……」

「婦警さんのこれからの働き次第だ!」


 突然、松永とは反対側の方から鋭い声が聞こえてきた。優華が恐る恐るその方を見ると野村に代わって今度は吉田が自分の怒張した性器を露出させていた。

 優華の顔がたちまちに引きつった。


「ま、まだするの!」

「当然だ! 野村ばっかりずるいぞ!」


 そう言ったその瞬間、驚きで引きつる優華の口に野村程大きくない性器が押し込まれた。


「んんっ!」

「さあ、さっきみたいに舐めるんだ!」


 吉田は勢いに乗ったように早口で優華に命令をした。口に入れられた肉棒は異なるが状況に何ら変化はない。

 舐めて、しゃぶらねば人質の命はない。

 優華は再び警察官としての自負を奮い立たせ、女性としてのプライドを犠牲にさせながら吉田の肉棒を舐め始めた。


(…………どうして……私が……こんな事を……)


 いくら被害者の為と言ってもここまで。優華を支える警察官としての自負が僅かに揺らいだ。そんな揺れる心に関係なく、優華は肉棒を舐め、涙をこぼして自分に問い掛けるのだった。

 そんな優華を前田はデジカメで撮っていた。

 精液塗れになった顔、胸や鎖骨の辺り。そして精液が飛び散っている制帽に制服……。制帽にある警察のエンブレムにも白濁した液が付着し、自分達を抑圧する警察を屈辱的に汚している。

 前田はそれをデジカメに収めながら言い様のない興奮を感じていた。

 もちろん、優華の若々しい肉体には制的な興奮が掻き起こされている。
 だが、それ以上に普段は気丈で高圧的な女、婦人警官が自分達の命令に従ってフェラチオをしている。そして婦人警官を婦人警官と足らしめる制服もこうして乱す事ができている。

 その征服感や達成感に前田の心は満たされ彼の中で心や欲望が膨張していく様子が自分で感じられた。

 前田はそれを落ち着かせようとするようにふうと一つ息を吐き、デジカメを優華のロングブーツに向けた。

 黒のロングブーツの上に野村の白濁液の溜まりが一つでき、円筒状の脚の丸みに従うようにそれが垂れ始めていた。前田はそれをデジカメに収めると思わず生唾を飲み込んだ。

そしてデジカメを作業着のポケットに押し込むとそっと優華の脚でぱんと張るロングブーツを触った。ブーツの革越しに彼女の肉感を味わうようにゆっくりと撫でる。数回、革の上で手を滑らせると今度は貪り付くようにその顔をブーツに近付け、革の臭いを鼻に感じさせながらぺろっとブーツを愛しそうに舐めた。


(なんと罪作りなんだ……婦警の制服に……ロングブーツ…………やはり婦警は……ただの女ではない……)


 そんな興奮に付き動かされた前田の行動に優華が気付く事はなかった。


「んんんっ! んんんっ!」


 吉田の肉棒を口に含められてまた松永によって強くピストン運動をさせられていたからだった。


「ま、松永さん。婦警の口を引き抜く必要はないですよ!」

「なんだ? お前は顔射しねえのか?」

「ええ。この婦警に全部飲んでもらいます!」

「んっ!」


 あの白濁液を飲まされる。優華はピストン運動をさせながら首を僅かに左右に振った。


「う、うう!」

「何だ、もう出るのか? 早漏じゃねえか!」

「た、溜まってるんですよ! 久し振りだから……ああっ!」


 じゅぷ! じゅぷ! ぐちゅ!

 優華の唾で濡れる口と肉棒から野村の時よりも大きな淫靡な音がしていた。吉田の肉棒はもう限界――。そばで見ている松永からはそう見えた。


「うあっ! はあああっ!」


 果てたような声を吉田が上げた瞬間、優華の口の中にある肉棒がびくんと震え、それと同時に熱を帯びたどろっとした液が口の中に撒かれた。

 吉田が肉棒を引き抜くと優華はがくっと線の切れた操り人形のように頭を垂れた。だが、すぐに松永が彼女の顎を持ち、くっと顔を上げさせた。


「吐き出すなんてもったいねえ。飲めよ」

「うっ……」


 頭を垂れた時に半分くらい口からこぼれ、口元から白濁液が垂れていた。優華は残り半分も吐き出したかったが、松永の命令。背く訳にはいかなかった。


「……うう……」


 優華はためらいがちにどろっとした精液をごくんと飲み干した。

 松永は優華が精液を飲み干すのを見てその顎から手を離した。優華は再び頭を垂れて肩で息を繰り返した。

 そんな優華を松永はにや付きながら見るとふと、前田の方を見た。前田はデジカメを手にし、優華のロングブーツをさすっていた。そのロングブーツが少し濡れているのを見た松永はふふっと笑い、そっと前田に自分の顔を近付けた。


「俺が先でいいですか?」

「……ああ。お前は後ろだろ?」

「へへ……そっちもブーツを堪能したみたいで」


 二人は優華のロングブーツを見ながらひそひそとそんな話をしている。

 無論、優華の耳には届かない。そしてこれからも優華にとってこの地獄のような時が流れる事は、まだわからなかった。


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