−5−
「……この前のロングブーツがなかった時よりも……すごいね」
「え……あ……ごめん」
デニムがジッパーで割れ、その割れ目からはかなり隆起したトランクスが現われた。
彼女の言葉に彼が申し訳なさそうに言う。彼女は小さく首を横に振ると突き出たトランクスにそっと手を置いた。
「いいよ……ブーツを履いた私でこうなっているんでしょ? 私も……嬉しいよ」
トランクスも割れ目で割る。するとぶるん、と固く、高々と反り返った彼自身が飛び出てきた。
赤く充血したような先端はもうぬらぬらと濡れ、ブーツに似ようとしているように熱く輝いている。
「……ずっと……私がこれを履いたのを見てからずっとこんなのだったんでしょ?」
「う、うん……」
かあっと彼の顔が赤くなる。
「……可愛い」
屹立した彼の物の先端にそっと人差し指を置いてくるっと先端の上を滑らせる。先端は炙られたように赤く、そして熱い。そこを包み込む液体も人肌に温もり、彼女の指を包み込む。
「うっ……」
ぴくっと彼が震える。彼女の指がそうっと上に上がる。人差し指についた粘着質の液体がつーっと糸を引いて彼女の人差し指にまとわりついている。つん、と糸が切れて人差し指の腹に塗れている舌の口のヨダレを見た。
「いつものように……しよう……ね。この前はロングブーツがなかったから物足りなかった……でしょ?」
彼女はそう言いながら指についた彼のヨダレを左脚の黒革にすうっと擦り付けた。
「…………!」
彼女の名前を早口で彼が言ったと思った瞬間、彼女はどさっとベットの上で横にされていた。視線の先には彼の顔。すうっと顔が近付き、重なり合う。
「んんん……」
彼女の手が彼の背に伸びる。その時、ふわっと下半身が軽くなるような感じを覚えた。
「ん……?」
彼の左手が彼女の左の太ももを抱えるようにしてぐいと持ち上げる。膝上にあったミニスカートの裾が捲り上がり、太ももまで露となる。その奥にはピンク色の下着も見える。
しかし、彼は太ももには触らず、膝裏辺りを持ってその先の黒革の脚を丁度いきり立つ自分自身に持っていく。
「んはあ……いいよ……」
彼女が差し出すように黒革の脚を彼自身に動かす。彼は黙って頷くと右手で自分自身を手にしてそれを黒革の脚に寄せた。
まずはキス。ぬらぬら輝く彼自身のと黒革の脚とが重なり合う。そっと先端を離すと下の口と黒革が透明なヨダレの糸で繋がる。
1つ彼が大きく息を吐く。再び黒革と下の口がキス。そのまま黒革の上をつつっと膝頭に向かって滑らせる。ヨダレのシュプールが下の口を追って黒革の上に描かれる。その部分だけ光沢が変わり、ぬらりとした照りが浮かぶ。膝下くらいまでシュプールが描かれた所でヨダレが切れる。そっと彼自身を離す。
「はあ……」
もう1つ大きく息を吐く。今度は彼の頭が彼女の黒革の脚に向かう。
「……ロングブーツ……」
彼女の名をつぶやいてそう言い、鼻先を彼女の脹脛に埋める。合皮の化学的な香りを楽しむようにすうっと大きく鼻から息を吸って熱い吐息を口からこぼす。
「ああ……」
そして、そのまま彼の口が彼女の黒革の脹脛につく。ちゅっ、と挨拶のように1つ軽く口付けをするとぎゅっと脚を抱き締めてゆっくりと愛しそうに頬ずり。彼の頬と黒革がしゅしゅっと優しく愛撫しあう音が透き通って耳に入ってくる。
「ロングブーツ……」
その感触を味わい、堪能するように両手と頬で彼女の黒革の脚を愛撫する。その温もりや感触は黒革の下の彼女の足にも伝わる。
「…………いいよ……もっと色んな事をしても……」
彼女が囁く。すると彼はそっと顔をロングブーツから離して再び口を脹脛に近づけると舌の先端で黒革を撫で始めた。
「はあ……」
その瞬間、ぴくっと僅かに体を震わせた彼女が1つ息をつき、彼の名をそっとささやいて自分の脚に顔を埋める彼の頭を見る。ぴん、と張った黒革越しに彼の舌の感触が、熱いくらいの彼の体温が、彼の吐息が感じられる。
「なんだか……熱い……」
ぞぞっと脹脛のラインを彼の舌先がなぞる。ロングブーツの黒革に包み込まれているはずなのに直接地肌を撫でられているような感じ。しかし、くすぐったさはない。彼の熱さと訳のわからないぞくぞくっとした感じ。
彼女はそっと彼の頭を撫でた。
「ねえ……熱い……」
「……僕もだよ……こんなに……」
彼はロングブーツから離れると彼女の顔元に顔を近付けて唇を寄せる。
「んんんん……」
再び口の中で2人の舌が絡み合う。ぎゅうっと抱き締めあう2人。彼女の黒革に包まれた膝が彼の手と顔以外に唯一肌を露出させている彼自身を撫でるように動いた。
デニム、トランクス、Tシャツ、シャツ。
ミニスカート、パンティ、セーター、タンクトップ、ブラ。
ベッドの脇にそんな彼と彼女の装いが乱雑に散らかっている。
「ああ……はあ……」
彼の熱い吐息。彼の両手には仰向けに寝る彼女の黒革に包まれた両膝。
ぴたっと閉じられた彼女の両脚。その丁度脹脛のあたり、一番柔らかな部分に屹立した彼自身がはさみ込まれていた。
乳房ならパイズリとなるような状態。ブーツズリとも言うような状態か。
「んー……もっと強くする?」
やわらかな彼女の脚に吸い付く黒革。それに挟まれた赤く熟れた彼自身。自らぬらぬらと濡れるそれが黒革に挟み込まれてゆっくりと蠢き、黒革を濡らす。しゅるしゅる、と言う革をする音ではなく、つく、ちゅくと舌なめずりをするような音が響く。
「う……うん……もっと……」
「…………」
きゅっと両膝に力を入れて彼を挟み込む。
「うあっ……いいよ……暖かい……気持ちが……いいよ……」
強く挟み込まれた瞬間、彼自身がびくっと震え、彼の肩も震える。ゆっくりと彼女のロングブーツの間で硬度を保つ彼が上下、前後に動く。
「……熱いよ……熱い……こんなに……」
彼女が溜息のような吐息をこぼす。黒革を通して彼自身の熱さや湿っぽさが伝わり、彼が夢中となっている様を体感できる。
「……ああ……いいよ……僕も熱く……」
彼が彼女の名をこぼすように呟く。それに応えるように彼女はさらにきゅっと膝小僧の黒革を擦り合わせ、踵をこつっ、と合わせる。
「あうっ……んっ!」
彼がぬるっと両脚の間から彼自身を引きぬく。
さっきよりもぬらぬらと輝き、よだれが滴り落ちそうなほどに溢れその様は優しい彼に似使わぬほどグロテスクな、いかにもオスと言った荒々しさがあった。
彼は彼女の合わさった膝小僧をがばっと開かせた。
「いやっ、恥かしい……」
反射的に小動物の悲鳴のような短い声を上げて思わずきゅっ、と目を閉じる。
何度彼と寝てもこの彼女の秘所が剥き出しになる瞬間に走る一瞬の羞恥だけは慣れず、いつも初心な声を上げてしまう。
そして、かあっと全身が暖まる感覚を覚えたその時、不意に足首からぐっとした締め付け感と下腹部からのすうっとした風、そして鼻先からむんむんと湧く熱さやオスの匂いを感じた。
「あ……」
ゆっくりと目を開けると鼻先にはあのグロテスクな彼自身。彼はロングブーツを感じながら彼女を感じられ、彼女は彼を直接感じられる体位となっていた。
シックスナイン。
2人にとってはこれが正常位。一番興奮し、互いを感じられるその体位。
「…………」
こくん。唾を飲み込んだ彼女の喉の音がやたらと大きく響く。心音を高鳴らせてゆっくりと口を開けて舌を出す。
つん、と先割れしている彼自身に舌先で撫でる。
「はあっ……」
敏感に彼が反応する。彼女が口を開けて顔を上げ、先から口にしようとした、その時、
「んあっ!」
突然、下腹部から快感が走った。ちらり、と彼に覆い被されている下腹部を見ると彼女の脚をM字に開かせて両足首をがっちりと掴んで秘書を舐める彼の顔が見えた。
「あ……ああ……」
剥き出しになった彼女を彼のザラっとした舌がゆっくりと丹念に舐めだす。
「あはあ……ああ……」
びくびくと小波のようにじわじわと走る快感。ぴくん、と乳房の先が震える。彼女は開けた口をゆっくりと彼自身に向けてその頭を包み込むように咥えた。
「ん……んん……」
彼の頭を口にして舌先で割れ目を撫でる。じわっと塩分の濃いねとっとした液体が湧き出る。彼女はそれを舌の腹で拭い取り、つるんと舌の表裏を使って頭全体を舐める。
「んふう……ふう……」
「んっ! んん! ん!」
頭を舌でなでる動きに連動するように彼の息遣いが彼女の敏感な部分を撫で、その舌の動きも早く、深くなる。
彼女は動きをなぞる様にして起きる快感の波に頭の中を徐々に白紙へとさせながら彼自身を深く咥え込んだ。
「んん……ん……ん……」
顔を動かしてゆっくりと彼を頬張る。彼女は体位を僅かに変えたり、位置を少しずらしたりしながら彼自身を口にし続けた。
「あう……ん……くはあ……」
その度に彼の息遣いも変わる。動く度に膝が曲がったり伸びたり、足首もがっちりと彼の両手に固定されている中でももがくように動いてその手に皺の感触や革の鳴く音を伝えさせる。
「んん……ん……」
じゅくじゅくとすするように彼をひたすらにしゃぶる彼女。そしてずずっと膝を曲げ、太ももも上げる。
窮屈なほど足を曲げぎちぎちっとロングブーツの黒革が悲鳴を上げる。その瞬間、ぎゅっと脚で彼の頭を挟み込んだ。黒革でぎゅうっと彼の頭や顔が締め付けられる。
「んっ! くふぅん!」
その瞬間、彼女の口の中の彼自身が僅かに震え、ぐん、とさらにいきなり屹立した。その先端が彼女の喉奥をくすぐり、彼女を軽くせき込ませる。
「あ……大丈夫?」
苦しそうな彼女の声に彼が顔を埋める秘所から顔を上げて肩越しに彼女を見て反射的に訊く。彼女はぬぽっと彼自身を口から抜いて首を横に振る。
「う、ううん……大丈夫……急に元気になったから……ねえ……私……」
彼女が手を自分の下腹部にある彼の顔に向け、そっとその頬に滑らせて彼の唾液や彼女自身の分泌液でぐちゃぐちゃに濡れている秘所に置き、ぱくっ、と軽く開かせた。
「……いいの?」
「……うん」
彼女がこくん、と頷く。それを見た彼はさっと起きあがると彼女に向かい合うように体位を変えた。
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