婦人警官 最大の危機


(もう、なんでこんな時に!)

 初冬の道を優華がロングブーツの踵を鳴らしながら走っていた。
 今日の町の神社で行われるお祭り。その雑踏警備に先輩の真理子と一緒に駆り出されていた。

(薬の効きが遅すぎる……!)

 その仕事中、優華は不意に便意に襲われたのだった。この仕事もあるので、昨日の夜にでも効くはずの便秘薬を時間通りに服用していた。しかし、慢性的便秘症の彼女の消化器、及び排泄器は相当に鈍感らしく、予定時間を20時間程遅れて強烈に効き始めたのだ。

(早く早く……!)

 便意を耐える優華。急いでいるが急ぎ過ぎるとすぐにでも漏れてしまうと思うほどに逼迫している。
 婦人警官の制服を着ている今、そんな事態になったら――。考えるだけでぞっとする。
 そんな非常事態を周囲に悟られまいと彼女は澄ました様子で振動を与えずに急いで一番近くの交番に向かった。
 走っているような、早歩きのような、そんな調子で道を急いでいると視界に交番の看板と赤いさくらんぼのような赤いサインボールが見えてきた。
 助かった。
 優華はそう思ったがここで油断はできない。今まで来た調子と変わらない調子でさらに道を急ぎ、交番に駆けこんだ。

「すみません! トイレを借ります!」

 中に入ってすぐ、そう言ったが交番は無人。丁寧に無人を表す看板も出ている。
 しかし、優華はそんな物に気を止める事なく、そのまま中へと入り、真っ直ぐトイレに駆けこんだ。
 そして、トイレのドアを開けるとそのまま女性用の個室に飛び込んだ。その時、彼女には外のトイレの扉にこう書いてある張り紙に気付く事はなかった。

『女性用、故障中』


 バタン! ガシャン!
 個室に飛び込んだ優華はドアを乱暴に閉め、鍵も叩きつけるように掛けた。

「あっ、和式……でもっ!」

 個室に入った瞬間、床にへばりつくようにある和式の便器が目に入った。優華は一瞬、躊躇しかけたが張った下腹の排便を促す強烈な刺激の前にそんな事を言ってられる余裕はなかった。
 ショルダーバックを金隠しの前に置き、紺色のスカートの裾を腰まで引き上げた。そして、パンストとパンティを一緒に掴むとそれを膝下のロングブーツの口まで下ろし、肛門括約筋が目一杯引き締めてひくひくとする肛門と少し薄めの形のいい陰毛と秘所を曝け出させた。

「うっ……ああ……急がないと……」

 和式の便器を跨ぎ、ぐっと腰を落した。その瞬間、黒いロングブーツの革に包まれた足首が曲がり、ぎしっという軋んだ音と共に多くの皺をそこに寄らせた。同時に足首を締め付ける拘束感もそこに与えたが排便に必死な優華にはそれを感じる余裕すらなかった。
 優華は便器を跨ぎ、股を開いたままで尻餅をつかないように心持前方に力を掛けた。しかし、肛門を便器に向けたまま。
 やっとこの苦しみから開放される。
 準備が整い、ほっとしたその時、優華の女性としての頭が彼女の中でもたげた。

(水流さなきゃ……)

 排泄の音が聞こえないように水を流すのはエチケット。優華はほんの少し腰を上げて水を流すカランに手を伸ばした。そして、それを「大」の方に回すと同時に再び腰を便器に向けて落した。

「えっ!」

 しかし、回した瞬間にあるはずの手応えは全くなく、からん、と力なくレバーは回った。水は一滴も流れなかった。

 ブブウウッ! バリッ! ブリュブリュブリュブリュ! ビチャビチャ!

「んああっ……あううっ!」

 目一杯開かれた肛門が一鳴きし、その直後聞きたくもない音と共にごげ茶色のペースト状の物が勢い良き吹き出た。

 ベチャ! ブブッ! ブリブリブリ!

「はあっ……ああ……」

 白色の便器がこげ茶色に変わっていく。優華は下腹に力を入れ続け、踏ん張る黒いブーツの足を軽く震わせながら下腹の中に溜まったそれを最後までひり出し続けた。

 ブブ……ブリッ、ビチャ……

「ああ……はあ……」

 優華の口から甘い吐息のような息が漏れた。女性として恥ずかしい音を垂れ流したが、それにも勝る爽快感。とろんと恍惚とした目で宙を見つめながら一つ息を吐いた。すうっと鼻から息を吸い込んでみると独特の有機臭が絡み着くように鼻腔をくすぐった。

「はあ……よかった……んんっ」

 しかし、そんな匂いもそれほどは感じない。すっきりした爽快感で一杯だった。そんな中でもう一度下腹に力を入れる。

 ブウッ!

 もう出す物がない肛門が終わりを現すように一つ鳴いた。そして、その次の瞬間。

 チョロ……シャアアアアアア……

 今度は前の穴から黄色い液体が勢い良く噴出した。優華は肩を軽く震わせながらちらっと開いた股の間から便器を覗いた。こんもりと盛り上がったこげ茶色の排泄物。そこに黄色い小水が勢い良く落ち、びちゃびちゃと飛沫を飛ばしていた。
 便器を跨ぐロングブーツの靴底の側面や革にその飛沫が飛び、黒い革にぽつぽつと斑点のような模様をつけてる。
 徐々に陰毛の下から飛ぶ小水の勢いが衰え、排泄物の山にぼたぼたと落ち始めた。そんな様子を見ながら優華はほっと一つ溜息のような息を吐いた。

「はあ……すっきりした……でも……どうしよう……水が流れないなんて……」

 やっと優華は我に返った。水も流れない便器に排泄をした。しかも、交番のトイレである。

「……このままと言う訳にもいかないし……でも、交番の人に流れませんでしたって……言うのも……」

 こくっと唾を飲み込む。しかし、これ言わば非常事態の果てである。優華は一つ頷いて視線を上げた。

「……後でバケツか何かで流してみよう……それくらいで流れてくれるだろうし……」

 そう自分に言い聞かせるように呟くとトイレットペーパーのホルダーに手を伸ばした。更に前傾姿勢を強め、足首の革をぎしぎしっと鳴らして皺も作った。相当な締め付け感が優華を襲う。

「えっ!」

 ホルダーを上げた瞬間、優華は目を見開いて驚いた。そこに紙はなかった。全身を走る動揺と途方にくれる感覚。そして、かあっと上がる羞恥による体温上昇。

「な……なんで……どうしよう……」

 優華はしゃがんだままで狭い個室の中をきょろきょろとうろたえるように視線を泳がせた。人間、こう言う時ほど動揺をする事はない。しかし、彼女は婦人警官。常に冷静でなければならない。
 すうっと大きく鼻で有機臭に満ちた空気を大きく吸い込み、口から同じ位に空気を吐き出す。彼女なりに心を落ち着かせる方法である。

「ううっ……」

 しかし、自分の排泄物の臭いで吐き出しそうになった。家のトイレなら芳香剤や消臭剤でそれもある程度は緩和されるのだが。
 優華は自分のひり出した有機物の生の臭いに軽く驚いた。
 だが、一応深呼吸をしたせいか僅かに落ち着く事はできた。

「……ポケットティッシュ……確かあれって水に流れるやつのはずだから……」

 優華はそう呟くと更に前傾姿勢を強め、金隠しの前に置いたショルダーバックに手を伸ばした。そしてそれを開けると中を軽く弄った。

「……あれ……どこ……?」

 ところがあると記憶していたはずのポケットティッシュが見当たらない。徐々に焦りの色が浮き出し、きちんと整然と整理されたバックの中がガチャガチャとあっという間に荒れて行く。

「……あった!」

 焦りで諦めかけたその時、バックの底の方にポケットティッシュの白い腹が見えた。その形は物に潰されたせいでひしゃげているが、そんな見てくれを気にしている間はない。
 彼女はそれを手にとって両手でぴっと開封すると、すぐに一枚取り出してまだ感覚も生々しい自身の肛門の口を拭った。しゅっと擦り取るように強くティッシュで肛門を擦る。ざらっとした感触が敏感な部分を削る。

「痛い……」

 ひりっと日焼けのような痛み。トイレットペーパーの感触が懐かしく思えた。
 彼女は拭ったティッシュを見た。白い紙の上に茶色い汚れがべちゃっとついている。

「……足りるかな……紙……」

 限られた枚数のティッシュ。優華は財布から紙幣を出すように丁寧に、そして一面だけでなく折り畳んで裏面も使うほど大切に使って肛門を拭いた。そんな彼女の頑張りが効いたのか、残り一枚を残したところで肛門を拭いても茶色い汚れがつかなくなった。

「……よかった……」

 そして、残りの1枚でまだ小水に濡れる秘所を優しくなでるようにして拭った。

「でも……どうしよう……どこかに水……」

 多くの懸案が乗り越えられて、ふと最初の一番大きな懸案が再び浮かんだ。水が流れぬトイレ、どうにかして排泄物を流さなければならない。

「……バケツあったかな……あれば給湯室で水を汲んで……」

 ぶつくさと善後策を考えながら優華は小水を拭ったティッシュをそのままぽい、と習慣のように便器の中に捨てた。

「……仕方ない。そうするしかないか……」

 優華は少し腰を上げてブーツの口まで下げたパンストとパンティを引き上げようとした。その時、

「…………」

 彼女の動きが止まり、その視線が下向きに固定された。
 雪白色の便器の上にこげ茶色の有機臭を漂わせるペースト状の物体がこんもりと盛り上がる。
 その上に無造作に投げおかれたティッシュ。そこを挟むように左右の脚には黒革の官給品のロングブーツ。
 この光景、どこかで見た事ある。どこかで――。
 そんな事を思ったのとほぼ同時、四角い密室のはずの個室にふっと冷たい風が吹き込み優華の頬を撫でた、ような気がした。その瞬間、ばっと頭の中にある景色が突然浮かんだ。
 寒い冬、雑木林の中。
 4人の男。
 下品な笑い声。

「あ……」

  薄くガラスを輝かせる浣腸器。
 引き摺り下ろされたパンティとパンスト。

「あ……ああ……」

 下腹部への異物の挿入感。
 吹き出す大便。強制排泄。
 地獄のような肛姦――。

「ひやあっ!」

 優華は小動物の鳴き声のような悲鳴を一つあげるとその場から飛び離れて剥き出しのヒップを便所の床につかせて個室の隅に逃れるように退いた。

「いや……いや……こないで……酷い事…………酷い事しないで……」

 優華は弱々しく首を横に振って呟いた。
 この個室には優華しかいない。しかし、彼女には便器の中の自分の排泄物越にあの4人の男が自分に迫ってくる様子が見えていた。下品な笑い声を響かせ、下半身からはにょきっと屹立した男性器を剥き出しにし、それを優華に向けて。

「や……止めて……助けて……」

 さらに優華はパンティを上げるのも忘れ、ロングブーツの底を床に擦るようにして後ろへと逃れようとした。だが、彼女の背中は完全に個室の壁に合わさってこれ以上、彼女を逃がそうとはさせなかった。

「もう……もう……お尻は嫌だ……嫌……お、お願い……」

 つっと目尻から透明な雫がこぼれる。逃れられないがまだ逃れたい一心でざりざりっとブーツの底を擦り鳴らし続ける。
 恐怖で息遣いが荒くなり、胸の鼓動も強く、乱れる。
 逃れたい、この恐怖から。どんな事でもいい。恐怖を忘れたい。
 その鼓動は優華のそんな思いを代弁し、叫んでいるかのようだった。


 オナニーをしろ。


 その時、4人の男の影がそう言ったように聞こえた。

「えっ……そ……そんな事……」

 涙で濡れた向け、弱々しく首を横に振る。


 やれ。


「で……できない……だ、だってここは……」


 やれ。しないなら、ヤルぞ。


 続いて聞こえた言葉にぴくん、と優華の肩が揺れ、体が震え出す。

「……わ……わかった……だから……酷い事しないで……」

 うわ言のように呟き、涙にひくひくと咽びながら頷いた。そして、恐る恐る右手を制服の胸の膨らみに置いた。

「んっ!」

 その瞬間、全身に電流のような快感が走った。

(そんな……どうして……?)

 すうっと快感の第一波が引く中、優華はそんな事を思った。そして、疑問を解かそうとするように胸元に置いた手を制服の上着の中に滑り込ませ、さらにワイシャツの中、ブラの中に差し込んだ。

「はあ……んっ……どうして……どうして勃って……んんっ……いるの……?」

 ブラの下にある自分の左乳房。その先端にある乳首はびん、と立って硬く引き締まっていた。まるでこうなる事を待っていたかのように。
 優華の指先がそれに触れた瞬間また快感が走り、口から甘い吐息をこぼさせた。彼女は右手でゆっくり、自分の乳首を摘み、弾き、弄んだ。

「んっ……つっ……んっ!」

 引き締まった乳首は強く弄ぶと痛みを感じるくらいになっている。しかし、その微弱な痛みも今の彼女には心地よい。

「はあ……んっ……」

 乳首を弄ぶうちに自分の体温がぐんと上がったように感じた。徐々に体を支配する緊張感が解けて行き、きゅっと引き絞っていた脚がゆっくりと開き始めた。

「あ……あ……」

 ぺたん、と右足のブーツのサイドが床につく。優華はそっと右手を胸から抜き、自分のスカートの中に手を入れて剥き出しになった秘所に触れた。

「んああっ!」

 指先が触れた瞬間、びくびくっと乳首の時とは比べ物にならない衝撃が走った。そこはもう熱いほどに火照り、じわりとそれを冷やさんとするように湿り気を帯びていた。

「こんなに……こんな……ああ……」

 溜息のような吐息。凛とした婦人警官の目はそこになく、とろんと襲い来る快感に押し流さてただ波間に漂うだけの娘の目があるだけだった。
 優華は左手を胸に入れ、少しぎこちない手で乳首を弄び、乳房の本体もぐっと鷲掴みにした。

「んあっ……! ら、乱暴に……はあっ!」

 自分の乳房が歪む感触を味わったと同時、右手が秘所を再び撫でた。

「んひっ!」

 その瞬間、指先にぬるっとした感触と毛を撫でるざらっとした感触とが混ざり合った感触が伝わり、同時にあまり聞いた事のないような高い声が喉の奥から漏れてきた。
 優華の指は秘裂の外輪をつつーっとなぞった。そこは茹で上げたように熱く、触ってなぞっただけでも赤く充血している事がわかる。

「……はあ……こ……こんなに…………どうして……」

 優華は自分の体がどうなっているのか訳がわからなかった。
 ただ言えるのは、何かの拍子で何かのスイッチが入り、体内のどこかに火がつき、どうしようもなく体が火照っている事だった。

「ああ……わ、私……んっ!」

 きゅっと下唇を噛む。
 その痛みで正気に戻ろうとする安全装置が働いたようだったが、その痛みすらも気持ちよく、逆に押し止められた嬌声に体の火照りが一層酷くなったように感じた。
 優華の指先がさらに淫裂の外輪を下から上へと進み、その頂点、裂け目の端へと到達した。
 そこは普通の皮膚には守られていない剥き出しの物がつん、と立っている。優華の指は少しためらうように、ゆっくりとその立っている者に触れた。

「んんんっ!!」

 張った乳首に触れた時以上の快感。個室の壁についた背中が弓なり、制帽が少しずれた。そして、今の乳首のように張ったその肉豆を指の腹で捏ね始めた。

「はう……ん……んん……」

 同時に左は同じような動きで張った乳首を捏ねる。
 彼女の一番敏感な部分を二箇所同時に捏ねる。優華の頭の中は次第に襲い来る快楽に洗い流されて真っ白になっていくようだった。
 くりゅくりゅと肉芽を弄り、乳首も弄る。優華の口から甘い吐息がこぼれ、鼻からも抑えきれない息がこぼれた。体を走る虚脱にも似た快感。優華は下唇を噛む力を増させ、すうっと目を閉じた。

「んっ……んんっ……」
(わ……たし…………こんな……あいつら……の前で……オナニー……)

 あの日以来、優華は自分の中で何かが変わった事は感じていた。
 たまらなく訳のわからない衝動に駆られたり、お風呂に入っていて知らずに自分の乳房を揉んでいたり、シャワーを下半身に強く浴びせたり。
 そうなったら確実にそのままオナニーをするようになった。学生の頃も警察学校の頃も、警察官になってからもそんな事はなかった。しかし、あの日以来するようになった。
 それがあるにしても、人前で勤務中に、しかも交番の便所の中でした事はなかったし、しようとも考えなかった。それなのに、それなのに今は――。

「んっ……くうっ……」

 下唇を噛んで声を抑えるのも限界に来ている。優華はそう感じると胸を揉む手をワイシャツから抜き、胸の谷間に垂れ下がるネクタイを掴むとそれを口元に運んだ。

「はむぅ……んんっ……」

 口にネクタイを咥え込むとこくん、と唾を一つ飲み込んで再び左手を乳房に滑り込ませた。そして、人差し指で肉芽を弄くりながら空いた中指を淫裂の中へと差し込んだ。

 ちゅくっ……

「んんんっ!」

 何の妨げもなく、優華の秘所は中指を容易に受け入れた。秘裂の双璧を成すその肉は熱いほどに焼けてジューシーな肉汁を滲み出している。指が入った瞬間、その溢れんばかりの肉汁が溢れて張りのある太腿からお尻の方へと垂れていった。

「ふむん……」

 口を塞いで鼻で大きく息をする。すると下半身からめくれたスカートを越えてつん、と自分の体臭が漂ってきた。
 自分の体臭など普段は感じない。しかし、汗と汁とが混ざり合った特濃の婦人警官の液汁。優華の液汁。むせ返るようなその匂いにびくんと優華の体が軽く震える。

「んん……んー、んー……んん……」

 つくちゅくんちゅくちゅ……

 その匂いはお世辞にもいい匂いとは言えない。しかし、なぜか頭の中がそれを求め、ひくひくと鼻をくすぐらせた。そして、もっと出ろと催促するように中で中指を蠢かさせた。
 指が動き、中の肉や襞を刺激する。と同時に人差し指は肉芽の刺激を止めさせない。優華の執拗な秘所への攻撃。彼女の思惑通りに秘所はどんどんと肉汁を溢れさせて中をうごめく指や陰毛、太腿、桃の稜線を広範囲に濡らしていった。

「ん……ふぅ……んん……」

 ネクタイ越しに悩ましげな優華の声がこぼれる。口の中で濃い涎も相当に分泌されているのか、咥えているネクタイの色が口元から徐々に濃く変わっていく。

「ん……んんん……んんっ!」

 かくっと首を横に傾げると頭に殆ど乗っているだけの制帽がするっとずれた。普段叩き込まれた身嗜みが乱れている。

「んくっ……んんっ! ん!」

 しかし優華は全くそれを直そうとせずに夢中に中を掻き回し続けた。婦人警官なのだが、もうそんな事を気にしている様子は全くない。
 そして、不意に秘所の中の右手に新しい動きを加えた。

「んッ! んんっ!」

 秘裂の中の中指に加えて薬指も入ったのだ。秘裂は二本の指を迎え入れ、さらなる肉汁で歓待した。そして、指はそれに答えて溢れる肉汁を外へと掻き出すように前後に動き出した。

 ちゅくちゅくちゅくちゅく、くちゅくちゅくちゅくちゅ……

「んっ! んっ! んっ! んっ! んっ! んんっ!」

 優華の中で繰り広げられる擬似ピストン運動。彼女の火照りきった体は敏感に反応し、喉の奥から嬌声を発せさせ、全身に電流を走らせ続けた。
 もう優華は止まらない。
 どんどんと指の動きは速くなっていき、いつしか小指も入って指3本で秘所を掻き回していた。体の中の侵入者を秘所はその動きをさらによく感じようとする様にきゅっと引き締められてさらに肉汁を垂れ流す。乳首を弄ぶ手も激しく、強くなっていく。
 自分自身で自分を攻め、自分をぐちゃぐちゃにしていく。久保寺優華という1人の女性を、久保寺優華巡査と言う1人の婦人警官を淫らに汚していく。

「んんんっ! んんっ!」

 優華は素直に本能に従い、襲い来る快楽に身を躍らせていた。今が勤務中かどうか、自分は婦人警官なんだとかそんな事は全く関係のない事のようだった。そんな事を気にするだけの理性はとっくに外れ、今はただしたい事をする盛りのついた若いメスになっていた。
 狭く薄暗い交番の便所の中、淫靡に輝く黒革のロングブーツ。便器からは強烈な有機臭、下腹部からの濃い優華臭。
 一つ一つのパーツが優華を追い詰めて一匹のメスにさせていた。今、優華はバカの一つ覚えのように淫裂の中で指を3本ぐちゃぐちゃと掻き回し、人差し指でつるんとした肉芽を攻めて、乳首を捏ねていた。

「んッ! んんんっ! んんんんんんんんんぅんん!」

 びくびくっと大きく体が揺れる。彼女の中で前後に動く指。その白く細い、白魚のような指が淫らに動き、くちゃくちゃと淫靡な音を立てさせている。
 それだけではない。

「んっ!! んんんっ! んんんんんっ!!」

 優華の指先は彼女の中にあるスイッチに触れていた。それは何度も何度も自分の中を引っ掻き回しているうちに、気付いたポイント。そこに触った瞬間電撃のような快感とともにびくん、と体が無意識大きく震えるポイントだった。
 どんな快感も貪欲に求める今の優華。見つけたそのスイッチを強く激しく擦るようになっていた。びくんびくんと全身を痙攣させ、ネクタイを咥えた口の端から涎を漏らし、おびただしい肉汁を垂らしながら快感の津波にもみくちゃにされ続けた。

「んっ! んふんんっ! ん! んんんん!!!」

 何度も押し寄せる快感。優華はそれにただ喘ぐだけ。くぐもった嬌声を上げ、全身を弓ならせてごんごんと軽く頭を壁にぶつけながら感じ続けていた。

「んっ! んんんんんんんんんんんんんんんんぅぅぅっ!!!!」

 そんな状態は長く続かなかった。スイッチを何度も擦り続けていたその時、不意に嬌声が最高潮に達し、背伸びするように精一杯弓なりとなって乳房を揺らした。とろんとしていた目がカッと見開き、口も緩んで咥えていたネクタイが落ちる。

 ぷしゃああっ!

 そして、突如彼女の秘所から透明な液体が噴出し、パンティにパンスト、ロングブーツ、そして便所の床を濡らした。噴出す瞬間、彼女の下腹部には今まで経験した事もないような快感が走っていた。

「あ……あふあ……」

 それが吹き出た瞬間、優華の頭から制帽がポロリとこぼれた。それが床に転がったのと時を同じくして彼女の全身を物凄い弛緩が襲い、そのままぐだっと濡れた便所の床に力なく横たわった。

「はあはあはあはあ…………」

 口からは濃い唾が一筋こぼれ、ネクタイと糸を引いて繋いでいる。目はとろんとしたまま肩で息を続けていた。
 ふと気が付くと人影や気配はない。ただ便器の中で排泄物が有機臭を漂わせ、床に快感で力の入らなくなった婦人警官が転がっているだけだった。
 そんな事など気にすることなく、優華はまだ残り香のように時折体を震わせながら、そっと股間の手を動かした。

 ぬぽ……。

 泥から脚を引っこ抜くような音を立てて右手が抜かれた。その右手を目の前に持っていく。手はローションでもつけたかのようにぐちゃぐちゃに濡れ、指先はふやけ、ほのかに湯気も立っていた。そっと指を開くと糸を引いて水かきのようにのびた。

「……あ……ああ……こ……んな……に……」

 ぽつりと優華はそう言ってそのまま、手を床に置こうとした。するとその手がこつん、と何かに当たった。
 億劫そうに目線だけでその方向を見るとぐちゃぐちゃに濡れた指先が脱げた制帽の上に倒れていた。
 分泌液塗れの指は丁度制帽のエンブレムに付き、黒の台や金糸、そしてその回りの紺色の本体に汁を擦り付けていた。
 


「す、すみません……」

 しばらくして。持ち場に優華が戻ってきた。

「おそーい! 何やってたの!」

 そこには少しご立腹気味の、しかし笑みを浮かべる真理子がいた。彼女はほっと一つ息を吐くと優華を見た。

「随分時間掛ったわねえ……どしたの? そんなに便秘が酷いの?」
「いえ、違います……あの……」

 優華の顔はまだ高潮して赤い。そんな彼女の顔を真理子はしげしげと見ていた。

「ふうん……ひょっとして……紙がなくって凄く焦ったんでしょ?」
「えっ! どうしてそれが!」
「顔に出てるって。トイレ行ったくらいでそんなに顔赤くなんないでしょ。普通。だから、余程の事があったんだろうな〜って」

 ふふん、と一つ真理子は笑うとごそごそと上着のポケットをまさぐった。

「多分、紙を探してパンツ下げたままでトイレを歩いたとか、そんな見られると恥ずかしい事したんじゃないかなって……」
「あ……そんなに顔に出てますか、私……」

 本当はそんな所じゃないんです。
 そう言いかけたが喉の奥で押しとめた。真理子はポケットを弄りながら首を傾げた。

「わかりやすいしねえ。優華は……あれ……確か……ああ、あった。ねえ、ちょっとここお願いできる?」

 真理子はポケットの中にある物を確認すると優華にそう言ってどこかに行く素振りを見せた。

「あの、どこに?」
「トイレよトイレ。優華を待ってたらあたしも行きたくなって……紙がないって言うからあたしも持ってたかなって……じゃ、しばらくお願いね」

 そう言うとさっと優華に背を向けた。

「あ、先輩!」
「え?」

 トイレに行こうとした真理子を優華が呼びとめた。真理子は少し怪訝な顔で振り返った。
 そんな彼女の顔を見て優華は薄く笑って首を軽く、傾げた。

「トイレ、汚いみたいですから……気をつけてくださいね」
 そんな優華と一緒に軽く濡れ染みが残る制帽とロングブーツが真理子を見送っていた。

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