卒業のロングブーツ
「今日でこのキャンパスともお別れか〜」
桜の蕾もまだ固い大学のキャンパス。静かに開花の時を待つ桜並木をくぐり、木々の間から見える茶色の校舎を見上げながら歩く女子学生がいた。
手には卒業証書の入った筒。ピンク色に桜の模様が入った着物に紺色の無地の袴。ロングの濡れ羽色のストレートヘアに桜の髪飾りを一つ、添えた卒業生だった。
ピンク色の着物の上をさらさらと流れる黒髪。華やかな中にも和の凛とした佇まいを感じさせる。
「あの……先輩は……地元に帰る……んでしたね?」
「ん? そうよ。明日から盛大に引越し」
そんな彼女の前を男子学生が歩いていた。彼は彼女のサークルの後輩。彼女を先導するように歩いている。
彼は落ち着かない様子で辺りを見渡したり肩越しに彼女をちらちらと見たり。そんな彼に彼女はくすっと笑った。
「何きょろきょろしてんの。別に私とあんたが一緒にいて変な事を思う人なんていないって」
「えっ、いや、あの……」
「ま、仕方ないかな〜」
彼女の笑みが軽く深まる。
「この4年で一番のサプライズはあんたから告白られた事だったからね……あの時はほんと、ごめんね、OKしなくってさ」
「あ、いえ……いいんです……もうずっと前の事ですから」
彼の視線が肩越しに彼女の足元に行く。
紺色の袴からこぼれるように見える深いブラウンの編み上げのブーツ。こっこっとリズミカルに独特の篭ったような足音を奏でている。
くるぶしからつま先までしかその姿を見ることはできないが、足首やアキレス腱、足の甲と見える部分の革だけでも皺が寄ったりぴんと張ったりしてその見た目を変えていく。
春の柔らかな日差しに革も優しく、霞がかったような光沢を浮かべていた。
彼が視線を切る。彼女はまたふふっと笑った。
「そう言うとこが可愛いのよね〜……でも、可愛すぎて付き合う男と言う風に見られなかったの。なんか、可愛い弟って感じがして」
「そう……なんですか……」
よほど何か緊張しているのか、彼の言葉がどことなくぎこちない。
「どしたの? なんか緊張してない?」
「い、いえ別に……」
「そう」
ふふん、と彼女が笑う。
「私にあげたい物があるって……しかも講堂の前じゃ渡せないって……何か緊張するような事なの?」
「あ、いえ……」
小さく彼が首を横に振る。彼女はもう一つ小さく笑った。
「ひょっとして、あんたに告白られた以上のサプライズを用意してるとか?」
「えっ……えっと……」
ちらりと彼女を見る。
ちょっと見下ろすような笑みに普段見られない和装。そして、茶色の編み上げブーツ。
彼はくん、と唾を一つ飲み込んで彼女から視線を切って前を見た。
「多分……驚きはあるかもしれません……多分……」
二人はキャンパスの片隅に立つ棟に入った。
「部室棟かあ〜なるほどね〜」
二人が入った棟はサークルの部室が集まる部室棟だった。教室棟に比べて打ちっぱなしのコンクリートの構成多く、冷たさを感じるが同時にサークルの熱気を引き立ているようにも見えた。
同じ形の扉、打ちっぱなしの壁、薄暗い通路。殺風景な棟に華やかな袴姿の彼女が立つとその対照的な色調が浮かび、光り輝いているように感じる。
「ここでも色々あったっけな〜……告白られたのも部室の向かいの共同倉庫だったしね」
彼女がくすっと笑いながらしみじみと通路の天井や壁、掲示板を見ながら歩く。
ブーツの踵が地面を叩く音を高く響かせ、それが壁や天井に反射し、心地の良いリフレインを奏でる。
こくん、と彼がまた一つ唾を飲み込む。
そして、ちらりと一枚の扉に視線を向ける。
「あの……部室を見てくれませんか……?」
「ん?」
こつっ、と踵の音を響かせて彼女が部室の前に立つ。
扉の窓から部室を覗いてみる。しかし、そこはいつもの部室。誰かがいる訳でもなく、また何かがあると言う事もない。
その時、彼女の背後で僅かに風が流れた。
「ねえ――」
彼に彼女が訊こうとした瞬間、彼が背後から彼女の腹に手を回した。
「えっ、ちょっ!」
彼女が反射的に声を上げる。
彼はぐっと彼女を抱えるようにすると彼女の背後に開け放たれた共同倉庫の中へと引きずり込んだ。
「何な……」
彼女の戸惑った声、華やかな姿、ブーツの床を蹴る音。
彼女の痕跡その物も扉の中へと引きずり込まれ、重い鉄扉が閉じる音と共にかき消された。
「ちょっ……あっ……」
倉庫に引きずり込まれた彼女はブーツの踵の音を乱し、よろよろっとその真ん中に放り出された。
そして、彼女の前には。去年卒業したOBと同期の男2人の3人が立っていた。
「なっ……何よあんた達……こんな所で……」
きっ、と彼女の顔が引き締まり、3人を睨む。
「今日でこの街からいなくなるって言うからな……最後に思い出を作りたいって思って」
「そう。最後に俺達からプレゼントを……なあ」
「ああ……お前、いい女だからな」
3人がにやにやしながら視線を送りあって言う。
「こんな所で……何をする気……」
彼女が訊く。3人はただニヤニヤして何も答えない。何も答えずにじりじりっと彼女との距離を詰めて行く。
「こ、来ないで……」
じりっとブーツの底がコンクリートの床を削る。彼女は身を翻して倉庫の鉄扉を振り見た。
その瞬間、がちゃ、っと鍵のかかる音がした。
「えっ……」
扉の前には誘った後輩の彼が立ち、扉に鍵をかけていた。彼女と視線が合わぬように心持ち下を見ながら。
「そん……」
愕然とした表情を彼女が浮かべた瞬間、彼女の肩を男の手が掴んだ。
「きゃあっ! な、なにするのっ!」
そして、ぐいっと引っ張ると3人の只中に引きずりこんだ。からん、と卒業証書の入った筒がコンクリートに落ちる音がやたらと高く響く。
「思い出作ってやるよ!」
「卒業記念のプレゼントは俺達だよっ!」
「俺の卒業の記念品はお前だ!」
男3人は銘々に好きな事を言いながら彼女に群がった。
「いやっ! いやあっ! やめてっ! やめてええ!」
普段は上げる事のない彼女の悲鳴。そんな悲鳴を上げ、首を激しく横に振った彼女は着物の袖を振り回し、袴を乱してブーツの踵を打ちながら男達に抗った。
しかし、力はやはり男の方が上。さらに人数も多い。振り回す腕は同期の1人に掴まれて締め上げられ、そのままコンクリートの床に押し倒された。
「離して! やめて! そん……いやっ! いやあああ!」
押し倒された彼女は激しく首を振り、足をばたつかせた。ブーツの踵が高くコンクリートを叩き、独特の音を立てる。
そんな彼女にOBが馬乗りになるように覆いかぶさり、着物の衿に手をかけた。
「いやあああっ! やめて! やめて! やめてええ! 誰か! 誰かああ!」
彼女の悲鳴も男の性欲に油を注ぐだけ。OBはぴたっと守るように彼女の胸を包み込んでいる衿を力任せに重ね衿と肌着諸共左右に広げた。
「やめて! やだあああ!」
左右に開いた着物の衿の間から白いレースのついたブラが顔を出した。OBはそれを見て楽しむ、などせず乱暴に掴むとカップを引きずり上げた。ぷるん、と形のいい、ロケットバストの乳房が現れる。OBはそれを前にしてすぐにそれに顔を埋め、薄いピンク色の乳首を口に含み、乳房を揉みだした。
「やめて! いやっ! 助けてえっ! 犯される! レイプされるっ!」
彼女は目をきゅっと閉じ、首を左右に振って悲鳴をあげる。その悲鳴やブーツの踵が床を叩く音は倉庫に響くが、外に漏れる事はなかった。
その時、同期の1人がばたつく彼女の下半身にとりつき、袴の帯をつかんだ。
「なにするの! やめて! それはやめて! お願いだから! やめてえええ!」
下半身に手がかけられた彼女の声と足の動きが強くなる。しかし、同期はそんな物お構いなし。帯を掴むと一気に解き、袴を緩め、そのままそれを引き摺り下ろして行った。
「きゃあああああっ! やめて! やめてっ!」
紺色の袴が引きずり降ろされ白の肌着、ピンク色の着物、白のパンティ、そして、健康的な肌が露になっていった。
「…………」
眼前で展開する先輩のレイプ。
後輩の彼はそれから目を背けて鉄扉の前で立ち尽くしていた。
「いやっ! やだああああ!」
慕っていた先輩の聞いた事のない悲鳴。思い切って告白して抱いていた恋心を砕かれた先輩の襲われる姿。
「お願い! やめて! 助けて! 誰かあっ! 助けてええ!」
姉御肌で誰からも頼られるような彼女。誰かに頼る事も、頼ろうとしたこともない彼女。そんな彼女が助けを求める声をあげる。
わかった、僕が助ける――。
のどの奥から沸き起ころうとする言葉。
このままでいいのか、先輩がレイプされて。恋心を砕かれてもまだどこかで恋焦がれているこの先輩が。
「きゃあああああっ!」
彼女の悲鳴が一段、高まった。彼ははっと顔を上げて彼女を見た。
「…………!」
床に押し倒された彼女はすっかり着物を肌蹴させられ、袴を脱がされていた。
そして、むき出しとなった脚。パンストに包み込まれた脚の膝から下に編み上げのロングブーツが履かれていた。普通、袴に履くのはショートブーツなのに、彼女の脚にはロングブーツがあった。
パンストは既に破られ、白いパンティはカッターで片方だけを切られて左のロングブーツの中ほどまでに降ろされてそこで引っかかっている。
「いやあああっ! やめて! やめてええ! そんな所っ! いやだあああ!」
そんな両足を割り、むき出しとなった彼女の秘所を先輩がべろべろと舐めていた。同期の2人は乳房を舐めたり首筋を舐めたり無理やりキスをしたり。まさに狩られた獲物に群がる肉食獣の様相を呈していた。
「………………」
そんな中で後輩の彼。
身動きせず、その場に立ち尽くしたままで彼女を見ていた。
レイプされる彼女を、と言うよりもレイプされ抵抗するように動く彼女の脚を見つめていた。
ざりざりっとコンクリートの床を削るロングブーツの底。
地団駄のように床を叩き、かつ、と悲しげに泣くロングブーツの踵。
白く人工的な蛍光灯の光に濃いブラウンの編み上げロングブーツが不規則にその革を輝かせる。
それはまるで肉食獣に襲われもがく草食動物の様。
彼がふらっと動き出す。
「ぎゃうっ! あうっ! あああっ! やめっ! あうあああ! 動いちゃ嫌ああ!」
彼女の下腹部密着したOBががくんがくんと彼女を突き上げる。彼女の声が震え、脚が、ロングブーツが揺れ、編み上げの紐もゆらゆらと揺れる。
彼が彼女の足元に歩み寄る。
先輩達は彼女を犯す事に精一杯で彼の動きなど気にも留めていない。
彼は彼女の脚のそばにしゃがむと編み上げのロングブーツに包まれた脚を手にした。
手に吸い付くような革の質感。薄ぼんやりと湛える光沢。掌すべてて感じられる彼女の脹脛の肉感となめした革の感触。
こくん、と彼の喉を唾が固まって流れる。
彼は顔をロングブーツに寄せた。
「いやああああああ! やめ……やめてよお! いやあああ!」
彼女の悲鳴も耳に入らない。彼は彼女のロングブーツに頬を寄せた。
軽くざらっとした感触。人肌では味わえない、独特の感触が伝わる。
「……はあ」
二度三度と頬を擦ると勝手に吐息が零れる。徐々に温もりを帯びてくるロングブーツの革。
ロングブーツの革に温もりが増していくと徐々に彼の心臓の鼓動も高まっていき、ズボンの下も脈打ち出す。
彼は頬をロングブーツから外し、口を寄せた。
脚が動こうとするが、彼はそれを両手で押さえ、そのまま革に口付け。そして、舌先で舐めた。
濃いブラウンが舌のシュプールの部分だけ黒っぽく色が深まる。味はない。しかし、舌先に感じるロングブーツの質感にズボンの下は正直に反応していた。
彼は右手をロングブーツから離し、ズボンのジッパーにかけ、それを降ろした。
その瞬間、突き破るように屹立し、反り返った彼自身が顔を出した。
先端はすでにぬらぬらと輝き、涎をたらしている。
「いやっ! あうっ! あっ! あうっ! ああっ!」
彼女はその体をOBや先輩に貪られ、突き上げられ、獣のような悲痛な声を上げている。
そんな声を尻目に彼は固くなったそれをロングブーツに当てた。
ぬらぬらした液体が濃いブラウンの革に付着し、舌のシュプール以上に広く、そして濃いシュプールを描いた。
「はあ……っ!」
もう我慢できない。
彼はそう言いたげに彼女のロングブーツに彼自身をこすりつけたままで手淫を始める。
ぬちゃぬちゃと淫音が立ち、赤く充血しいきり立った彼自身の先端に細かな泡が立ち、それがロングブーツにべっとりと付着していく。
「あうっ! あううっ! うんっ! ふむうううっ! んっ! うんんっ!」
彼女の声がくぐもる。その口にまで捻じ込まれて口の中でも突かれ始めていた。
「ああ……くっ……」
彼は夢中で彼自身を扱く。
彼の右手がその分泌された粘着質の液体に塗れ、、ぬるぬるになって行っても全く気にはならない。
ロングブーツにその先端をこすりつけながら扱き続ける。
今まで彼女を想い自慰をした日々。
こうしたかった。こうなりたかった。
彼女を好きなようにしたい。その体、脚、ロングブーツを。そして、それが今。
「くっ……せ、先輩……!」
彼がうわごとの様に彼女を呼ぶ。
「んっ! ふむぅううっ! んんんんん!」
下から上から突かれる彼女。最早抵抗を諦めたのか脚にも腕にも力は入っていない。
彼はそんな動きのない脚を掴み、革に包まれた脹脛の肉感を味わいながら夢中に彼自身を扱いた。
「んっ! んんっ!」
だらんとしていた彼女の脚がびくん、と電流が流れたように震えた。
「んんっ! んんんんんっ!」
びくびくっと痙攣したように脚が伸び、伸びたままで硬直を始める。
ロングブーツの革が張り、アキレス腱に皺が寄る。
「先輩っ! 先輩いいいっ!」
それに伴って彼の手の動きも激しくなっていった。
ぬちゃぬちゃぬちゃと音を立て、泡立たせながら涎を垂らす彼自身。
火傷するのではと言うくらいに熱くなり、鉄よりも固くなったそれの先端がむずむずし始め、根元のさらに奥からこみ上げて来るものを感じた。
もう――。
「先輩っ! 先輩いいっ!」
「んんんっ! んっ! んんんっ!」
篭った彼女の声が高まり、びくっと脚が硬直して伸びきった。
そのロングブーツに彼の先端からぷしゃっと濃い白濁液が飛び散った。
飛び散った白濁液は濃いブラウンの革の上に水溜りや流れを作り、編み上げの紐や脛当てに糸を引いて絡まり、複雑に垂れた。
「はあはあはあ……」
ぺたんとコンクリートの床にへたり込むように彼が座る。先端の残滓をロングブーツのつま先で拭うとその手をロングブーツから離した。
こつん、と力なく踵からロングブーツは落ち、だらしなく伸びきった状態で床の上に転がった。
ふと、彼女を見る。
先輩やOBが彼女から離れてへへっと笑い合っている。
だらしなく開いた脚の間、下腹部からはどろっと白濁液が吐き出され、惚けたような顔の半開きの口からも白濁液がこぼれていた。
そして、先輩とOBは再び彼女に体を寄せ始めた。
彼も今度は彼女の左足に手を伸ばした。
鉄扉が閉まる音が物置に響き渡った。
そこには彼だけが立ち尽くしている。
その足元には彼女が横になっていた。
髪は乱れ、口元や首筋、顔に白濁液をべったりと付いたまま。
着物は肌蹴け、袴を剥ぎ取られたまま、胸も下腹部も全てをさらけ出し、何もつけていない脚を開き、ぐったりした様子で。
秘裂からは白濁液が溢れてコンクリートの床を濡らしている。コンクリートの床だけではなく彼女の胸、手、腹、そしてロングブーツ。
おびただしい白濁液に塗れ、身も心も心から陵辱され尽くしていた。
気を失っているのか、彼女はぴくりとも動かない。
彼はしゃがみ、彼女の脚に履いたままのロングブーツを見た。
「…………」
こくん、と一つ唾と息を飲んだ彼はそのロングブーツのサイドジッパーに手を伸ばした。
じじ、じじじ……ゆっくりとそのジッパーを降ろす。ぴったりと彼女の脚のラインに吸い付いていた編み上げのロングブーツがゆっくりと形を崩して彼女の脚から離れていく。
ジッパーが一番下まで降ろされ、かぽっと踵からロングブーツが彼の手によって脱がされる。
同じ事をもう片方の脚にも。
程なく、彼の手に彼女の汗と彼の精液が染み付いた濃いブラウンの編み上げロングブーツが入った。
彼はその内側にそっと口を寄せ、一度舐めた。
そして。
ぐったりして動けない彼女に一瞥をするとロングブーツを持ったままさっと物置を出た。
重い鉄扉の音が響く。
彼は振り返らない。扉とその音と共に、彼の中から彼女が隔絶される。
彼はロングブーツを持ったまま、そばのトイレに駆け込んでいった。
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