黒の虜 作品解説



遅咲きのロングブーツ

ブログに載せる小説だからと短くまとめようと思ったけどあれよあれよと長くなってしまった作品。
ロングブーツって履く人は冬の慣例行事のように履くけど履かない人はどんなに冷え込もうが
履くことはない不思議な靴と言えます。しかし、履かない人も作中の彼女のようにきっかけ一つだと思います。
その足に黒革を纏わせて脚となった時、きっと生まれ変わったように感じて周囲の視線も感じて、
今以上に美しくなれるのですからね。

貴方へのロングブーツ

「遅咲きのロングブーツ」のアンサー的な小説。どちらかといえば「遅咲き」は彼寄りの視線で、
「貴方」は彼女寄りの視線で描いています。作中の季節はクリスマスになってますけど、その設定がまるで生きていないと
感じるかもしれません。プレゼントはわ・た・し的な王道パターンとも言えなくもないですけど。
これ、実は最後に彼が彼女に本革のロングブーツをプレゼントしておしまい、って当初は描いていました。
しかし。ブーツを贈った後にそれを彼女が履いて「私からのプレゼント」ってやっぱり王道パターンを
繰り返してしまうかなと思ってこんな終わり方を選択したのです。



初めてのロングブーツ

最初のロングブーツ小説。8割方実話。
昔、すごく仲のいい友達の女の子がいました。でもその子は彼氏持ちで私の彼女って訳じゃなく、
のろけ話とか自慢話とか悩みとか彼氏と夜に何をしたとかを隠さず私にお喋りする子でした。
もちろん、私がロングブーツフェチだと言う事も知っていて、ロングブーツを買ってあげたりもしました。
そして、フェチだと知っていたのに、ある日ロングブーツを履いて一人で遊びに来ました。
で、どうなったかって? しばらくして「何かかかってる」って彼女が呟いただけですよ。

隣のロングブーツ

紺の方の「モーニングコール」と同じ時期に書いた作品。その時に住んでいたアパートがちょうど
この作品と同じようなアパートで、その上隣が水っ気のある女性が住んでました。
ある日、その部屋の前を通ると部屋の扉が半開きのままになっていて玄関が覗けるように
なっていました。何気に覗くとそこには形が崩れてへたれた黒革のロングブーツが一足置いてありました。
で、どうしたかって? 別に悪いことをしてはいません。ちゃんと元に戻したのですから。

きっかけはロングブーツ

同窓会で女の子の参加者がロングブーツを履いてやってくるとどきどきします。
でも、性的などきどきとは違うような気がします。ロングブーツが美しい逸品ならそれかもしれないけど、
なんだか街で通りすがりのロングブーツを見かけた時とは感覚が違います。
多分。ロングブーツを、と言うよりも小学校や中学校と言ったロングブーツを履いた姿が想像できない頃の
彼女しか知らない中でそのロングブーツ姿を見るとこんなの履くようになったんだ、って感じて感慨にふけるのでしょう。
そのどきどき。ロングブーツではなく彼女へのどきどきなんでしょうね、きっと。

姉ちゃんのロングブーツ

今まで書いた小説で一番評判のよかった作品と言っても過言ではないかも。
特に男女を問わずに「オチがいい!」とのご意見多数でした。アダルト小説じゃなくてコメディ小説のように
見えたのかもしれませんねえ。まあ、ロングブーツへの発射をコメディと言わずしてなんと言うかと言うのもなきにしもあらず。
私は次男坊ですけど上が兄だったので姉と言うものがどんな存在でどんな視線で見上げるのかいまいちわからず、
その辺で苦労した小説です。しかし、オチの強烈さでそんな事を上手く覆い隠せたような気がします。


僕のロングブーツ

私が最初に勤めた職場はショッピングセンターの一テナントでした。靴とかブーツには関係ない職場で平穏に仕事
してました。しかし、そのテナントの向かいがよりによって靴屋で秋になるとロングブーツがずらーっと並びました。
お陰で昼休みは食事を取るのも忘れてその辺をうろうろし、漂ってくる革の芳香に客待ち中でも下半身が元気になって困ったりもしました。
そんなお店の前でもこんな状態になる。じゃあ、もしもあの中で働いたら――そんな想いが基本になっています。
ちなみに。私が昔、職安で適職診断を受けたら「シューフィッター(靴の専門販売員)が筆頭に出ていました。今からでも遅くはない?

宴のロンググローブ

ブーツがありならグローブも黒の中の一つだ! と言う訳で書いた物がこれ。黒革の肘まであるロンググローブ
なんて普通はそうないでしょうけど、あったら非常にドキドキ物だと思います。
ロンググローブと違ってもっと柔らかく、手触りの良い表面になってたりするんでしょうね。
そんなのを手に嵌めた女の子が目の前に現れたら。もしかしたらロングブーツ以上にどきどきするかもしれません。

卒業のロングブーツ

卒業式シーズンになると登場するのが袴にブーツの女子大生。大抵は編み上げのショートブーツですけど、
袴に隠れてわかんないだろうとロングにしてみたした。
呉服屋さんからすれば邪道でちょっと、と思っているなんて話を以前聞いたことありましたけど、
編み上げブーツにはどんな洋服よりもこのような袴が一番似合うように思いますけどね。

繋がりのロングブーツ
「きっかけはロングブーツ」のアンサーです。
ロングブーツは本当に不思議な履物です。履く人は毎年秋冬になったら新しいものを買い揃え、履かない人はとことん履かない。
何か不思議な魔力と言うか魅力があるのでしょうかね。
女性を惹きつけ、男性を魅惑する何かが。



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